躑躅ヶ浦常葉、三森千夏、乙真紀、神木深月の四人は仲良し幼馴染。同じ高校に入学した彼らの青春が詰まった作品です。幼馴染だからこその距離感、信頼関係がたまらなく良い。
四人がお互いのことを大切にしている様子にグッときます。羨ましい…!ツッコミやワードチョイスのセンスも抜群で、掛け合いに思わず笑ってしまいます。
高校で新しくできた友達とのやりとりもすごく楽しそうで、この物語に入りたいと思ってしまうほど。特に常葉のコミュニケーション能力が半端なく、誰とでもすぐに打ち解ける姿や周りのことを気遣えるところが素敵なのです。
首席なのにちょっとアホな一面のある深月も、天真爛漫で可愛い千夏も、クールで努力家な真紀も、みんな魅力的。読めばすぐに彼らのことが大好きになります。
みんなでお弁当を食べたり、誕生日パーティーを開いたり、楽しい日常が描かれると同時に、ちょっとしたすれ違いの謎や外部の人間が潜入するという出来事、駐輪場の自転車が連日刺される事件など、盛りだくさんな物語です。
とっても面白かったです!ぜひみなさんも読んでみてください。
一緒の高校に進学した、仲良し四人組。仲間付き合いはこれまで通りだけど、新しい環境、新しい人間関係。そんな中でふと起こる、言葉のすれ違い、気になる言い回し。…なぜ自分は、あの一言を聞いただけで、こんな気分になっちゃうのだろう? 普段は見過ごしてしまいそうな感情の動きが、繊細な心理描写だからこそ浮かび上がってくる。第7章からは、雰囲気が少し変わりつつあるようだ。仲良し4人組の友情は変化していくのかどうか? ちょっと軽めの、でもいろいろ気を回す主人公を通してつづられる、清涼な学園生活の日常は、こんなにも謎解きにあふれていた。The game is on.
U2に表題の曲がある。
この曲の構成全体の内、ほとんどがイントロで、歌が始まってもヒラウタのまま、しゅっとタイトルを歌って終わるような歌だ。なのにとてもドキドキして、聴かせるのだ。そしてそれが、タイトルと合っていててえてえのだ。
上手い文筆家は、とくに事件が起きていなくても読ませることができる。
この作者様が目指しているのはそういうところではないかと思う。日常のやりとり、なにげないやりとりには、センスと信念が見え隠れする。
web小説はとかく、ト書きのようにひたすら事象を羅列する形式も多いが、日常描写を丁寧にすることでまるで物語の世界に没入したような…そんな気持ちをつくることができる。
今のところ何も起きていないこの小説は、きっと僕らに、あらたな青春の記憶をつくってくれるのではと思う。