第5話
緑色に光る蛍が飛び交う中、探索のために私は歩き始めた。
宇宙服から伝わるのは、アスファルト舗装された道路みたいな感触だ。なんだか地球が懐かしくなり、フッと心が和らいだ瞬間、
「……!」
私は再び言葉を失う。
まるで墓石みたいな、黒くて四角い石板に遭遇したのだ。
しかも、そこには文字が刻まれていた。未知の宇宙人が使う言葉ならば私には読めないはずなのに、普通に地球の言語だった。
石板は、どうやら
「おいおい。木星みたいな惑星じゃなく、木星そのものだったのか……」
航路不明になっている間に、私を乗せた宇宙船は、太陽系に戻ってきていたらしい。
しかも、他の惑星から生命反応が検出されないということは、既に地球の生命が絶滅しているのを意味している。
そもそも木星が第5惑星でなく第4惑星になっているのだから、それより内側の惑星――水星・金星・地球・火星――の一つが、既に消滅しているわけで……。
「せっかく希望の惑星を見つけたと思ったのに……」
絶望に打ちひしがれて、私はその場にしゃがみ込む。
宇宙服の腕の辺りに一匹の蛍がスーッと取り付いたが、もはや私は、蛍を
(「蛍の惑星」完)
蛍の惑星 烏川 ハル @haru_karasugawa
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