団地×エルフが描き出す、少女の世界の広がり

大おばさんの遺品整理のため、古い団地を訪れた13歳の女の子・弦羽(つるは)は、隣室に住むエルフの女性に出会う。
驚く弦羽だが、どうやら大おばさんはもちろん、お母さんもエルフと深い親交があったようで……。
弦羽が団地でエルフ、そして両親と過ごす真夏の3日間を描く。

幼少期にはわからなかった親戚の関係性が紐解かれたり、自分が生まれる以前の彼らの物語を知ったり。
「大人」の状態しか知らなかった彼らもまた、かつては子どもであり、若かりし日があったのだと知っていく。
思春期にさしかかるころ、多くの人が体験するであろう時間と歴史が「つながる」感覚。
それが長い時間を生きるエルフと、多くの人が住み、そして古びていく団地というギミックを使ってみずみずしく描かれている。

朝、昼、夜とさまざまな表情を見せる団地、エルフをはじめとする異種族の描写、どれも地に足がついているからこそ、まぶしい。

ひと夏の上質な日常系ジュブナイル・ファンタジー。

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