現実の世界と未知の力 - 日常と非日常の狭間で成長していく女の子の物語

主人公は、ネガティブ思考(ちょっと反芻思考気味…?)な女の子・紬希。
物語は、紬希がゴミ拾いをしている「魔法少女」と出会うところから始まります。

紬希と彼女を取り巻く友だちを中心に進む日常の物語に、
魔法少女、地球外生命体といった非日常で未知のモノが混じり合っていきます。

そんな紬希は、友だちとの関係や、地球外生命体による未知の力、
そして、現実の世界で周囲のサポートや理解が必要な事柄に触れ、
悩み、惑い、そして傷付きながらも、少しずつ成長していきます。

この作品で特筆すべきは、
前述のように「現実の世界で周囲のサポートや理解が必要な事柄」が
作品中で触れられている点にあります。

普段報道などでは中々取り上げられないこういった事柄を
作品の中で触れていく手法は、大変興味深い試みであると思います。
身近にありながらも、もしかすると目をそむけているかもしれないそれらの事柄。
それを上手に物語に組み込み、分かりやすく読者に示しています。

だからといって、堅苦しい内容でも、押し付けがましい内容でもありません。
そこは、作者であるきみどり先生の手腕によるところでしょう。

そして、ネガティブ思考な紬希の丁寧な心理描写が秀逸です。
「悲しくなるのがやめられない」という言葉を見た時は、心底ドキッとしました。
(自分もそういう傾向が強いので…)

他では味わえない面白さがある作品です。
腰を据えてお読みいただくことをオススメいたします。

気になった貴方、まずは読んでみましょう!

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