永劫輪転ドリームランド

きみどり

00-01 プロローグ

「はろー、あいあむモルモル。白いお顔に黒い体のキュートな地球外生命体だ」

 

 少女は姿を現したソレを見て、目を白黒させた。

 キュート、なのだろうか?

 シロクマの頭はどう見てもぬいぐるみをかぶっているだけだし、耳の部分からは布地を突き破って、湾曲した角のようなものが生えている。

 二頭身の体はずんぐり丸く、それを覆っている黒い長毛は所々もつれていて、なんとなくゴワゴワした印象を受けた。

 

 ヘンテコなソレは、少女に手を差し伸べた。

「ムーのドナーにならないか?」

「ドナー……って、あたしが死んだら君に臓器をあげるってこと?」

 ソレはぷるぷると首を振った。

「ムー、お腹空いて困ってる。あなたとムーは適合するから、助けてほしい」

 

 少女はキョトンとするばかりだった。でも、

「あたしが、良いよって言ったら、君は助かるの?」

 ソレはこくんと頷いた。

「お願い。ドナーになってくれたらお礼に――」

「良いよ!」

 

 突然の意気込んだ声にソレがピョコンと跳ねた。

 今度はぬいぐるみの目が白黒する番だ。

 戸惑っていた少女は、お願い、と聞くや否やパッと笑顔になり、差し伸べられていた手をとった。

 両手で人外、もとい地球外生命体の手を握り、臆せず少女は言いはなった。

「あたし、君のドナーになってあげる!」

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