犯人はおまえだ!
最前部の車両の一番奥に女は座っていた。
膝の上に例のボストンバッグを大事そうに抱えている。
コナン君は女の真ん前の席に立ちはだかった。
女はうっとうしそうな顔を向けたが、ナオたちの繋いだ手を見て、もっとうっとうしそうにした。
次の堺駅で女は降りる様子がなかった。
その次の降車駅は泉大津だ。
電車が停まる度、客は疎らになっていき、女の隣の席が2人分空いた。
ナオとコナン君は腰を下ろした。手を繋いだままだったが、それの方がカップルに見えて怪しまれずにすむやろ。
コナン君どないするつもりやろ。
ふと思った。急にナオが抜けた薬局が心配になった。
先輩、ごめんなさい。
とうとう最終駅の関西空港に着いてしまった。
早くも網棚の荷物を降ろす乗客がいて、車内は動き始めた。
隣の女が立ち上がり、乗降口に向かおうとした。
「おっと、失礼」
コナン君は自分の長い足を突き出した。
女の躰を支えると、また元通りに座らせた。
「丸福の詐欺容疑で荷物を改めさせてもらえますか?」
「丸福、何それ。そんな不動産屋知らんわ」
あちゃー、語るに落ちるとはこのことやわ。
ナオは呆れて容疑者の顔をマジマジと見てしまった。
女の顔は青ざめている。
「丸福が不動産屋だとは、一言も言ってませんよ」
「何やのん、そんなん知らん、知らん。うちの荷物取らんといて」
引っ張り合いになったボストンバッグの持ち手をコナン君が急に離したものだから、弾みの付いたバッグがナオの前に転がってきた。
「ちょっ、うちのカバン返して」
暴れる女をコナン君が押さえてる
ナオがファスナーを開けると、先ほどまで着ていたまだ温もりの残る喪服、セミロングのウイッグ、お金の入った香典袋がどっさりと出てきた。
「わあ、香典袋がようけ」
「ナオさん素手で触らないでください」
コナン君が慌てて止める。
香典泥棒に、日暮香奈へ不動産詐欺を働いたときのお金が殆ど手付かずのまま残っていた。追求したら余罪がゴロゴロ出て来そうだ。
コナン君の手が震え、なかなか手錠がかけられずにいたのをナオは見逃さなかった。
🏡書き始めが何とも頼んない出だしでしたが、皆様のお陰で最後まで書き上げるることが出来ました🎵 ミステリー部門週間ランキング2位になり、書いて良かったあ。
【『🏡あの不動産屋が帰って来た!』に続きます。】
https://kakuyomu.jp/my/works/16817330655645774951
1🏠あの不動産屋は何処に消えた! オカン🐷 @magarikado
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