『経済』
この言葉を聞いて「よく分からん」と思われる方も多いかと思います。
しかし、実際に私たちは経済の世界で生きているのです。
ピンと来ませんよね?
それを教えてくれるのが、この『だって、お金が好きだから』です。
作品のコピー、作品解説を読むと、何やら難しそうな気配…
でも、安心してください。この作品を読むのに特別な知識は必要ありません。
物語の舞台は異世界。主人公は女商人とその護衛。そんな異世界ファンタジーの物語を読み進めていくと、自然に経済の仕組みが頭に入ってきます。そこに押し付けがましさは一切ありません。
解説のエピソードも秀逸です。
ひとつひとつの事柄を、私たちの目線に合わせて分かりやすく解説してくれます。ここにも嫌味な空気はまったくありません。
異世界ファンタジーの世界に、現実世界の経済の仕組みを物語の主軸の要素として上手に組み込み、作者様の豊富な知識と経験に基づいた構成で物語が進んでいく、中々他ではお目にかかれない作品です。
さぁ、貴方もこの機会に『経済』に触れてみませんか?
異世界ファンタジーと先物取引のお話という、一風変わった取り合わせの作品です。
同ジャンルとしては昔あった「狼と香辛料」が有名でしょうか。
結構昔ですが、でもそのくらい遡らないと、似た傾向のお話って(私程度の読書量だと)出てこないんですよね。
それほど異世界ファンタジーと経済って組み合わせが難しいというか、書くための資料が少ないんです。それで一本お話が書けるんだから、作者様の博識ぶりが窺えます。
本作品は商売や取引のお話がみっちりがっちり書かれていて、他のレビュアー様が仰っている通り、面白いだけでなく教養にもなります。作者様の補足資料もありまして、作中の出来事は現実でいえばどういう事例にあたるかが、細かく解説されています。これでかなり内容が呑み込み易くなります。
私も同じページを何度も見直したり、まさしく勉強させて頂きました。
異世界ファンタジー系を書く方には特にお勧めの作品です。
東洋と西洋の文化が入り混じる中央アジアを舞台に、かわいい旅商人のリツが騎士のタルワールと一緒に商売の大勝負を仕掛けていく物語です。
商売は計算だけではなく、人との駆け引きも必要。
時には損して得取れという場合もある中で、聡明なリツが知略をめぐらせて大勝負に挑んでいく姿に勇気をもらいます。
しかし、商売の話だけではなく、恋愛要素やバトル要素も盛り込まれている本作。
恋愛については意外と計算が働かなかったりと、リツの可愛い姿が見られます。
物語の構成にも緻密な計算がなされていて、最後の最後に大きな謎が明かされる等、最後の一ページまで楽しめる素敵な作品です!
お使いに来た「お嬢ちゃん」と店員の、ジャガイモの売買のやり取り――そこで店員のおじちゃんはオマケ付きで売ることに成功するのですが、逆にこのお嬢ちゃんに「利益」に関して甘さを指摘され、してやられてしまいます。
何を隠そうこのお嬢ちゃんこそが主人公にして経済に精通した旅商人、「リツ」さんなのです。
この冒頭で、この「異世界ファンタジー」に只ならぬ気配を感じ取るでしょう。
まさか経済の指南書なのでしょうか? そんな錯覚を覚えるほど、読み進めるごとに賢くなっていく気がします。
勿論ストーリーもキャラクターもとても魅力的です。このリツさんは賢くそして知的好奇心、冒険心に溢れていて、彼女と護衛契約をする騎士の「タルワール」さんも気圧されることない強かさもあり腕っぷしも確かです。(そしてリツさんも認める「イケメン」!)
背景は異世界ですが、人あれば経済・流通の根底は同じ。先行き未曾有なればむしろ今世も異世界に同じ!? 強かに生きる術をリツさんに習いましょう。
さあ馬車に乗って、経済とロマンチック街道へ出発です!
商業経済系。
魔法といった神秘などとはかけ離れた超現実的なからくりが、非現実世界にて繰り広げられます。だからこそ、読めばいつのまにかスキルが身についてしまいそうな、学術書並みの傑作です。
もちろん、登場人物たちのキャラも立っており、恋あり笑いあり憂いありのファンタジー物語としても十分に楽しめます。その中にサラッと忍び込まれているお金等のあれこれ、もはやある種の思想ともいえます。
すらすらと流れるような文章はまるでテレビショッピングを見ているかのよう、とっつきにくいかと思いきや実は理解しやすく楽しめます。
ファンタジーの中の現実、しっかりと向き合いましょう。小難しそうだと思ってページを閉じかけているそこのあなた、まあいいから戻ってきんしゃい。
もう閉じちゃったどなたさん、一話から復習しましょう(^^)♪。
物語なので経済の知識が入ってきやすいです!
作者は経済に詳しい方で特に先物取引に造形が深いように感じました。
経済の話以外にも恋愛があって、とても気になります。
リツという自称少女(22歳)が主人公です。
商人で大きな取引を成功させるために護衛を雇いました。
護衛の名はタルワール、騎士でした。
この二人が旅をしながら、読者が経済を学ぶ物語になっています!
経済をテーマにする物語は非常に難しいですが、細かい部分まで丁寧に描かれています。
金融に携わる商売は非常にシビアでありながら、感情は切り離せません。
投資心理学という分野があるくらいです。その部分が非常に上手く描かれていると思いました。
また、戦争経済についても理解を深めることができました。
金融業界にとって戦争はプラスの分野、マイナスの分野があります。
リツの場合は木材だったようですが。
そんなシビアな世界で生きるリツもやっぱり可愛いんですよね。
直向きな姿やタルワールとの関係に悩む姿、私は大好きです!
面白い物語です!
是非お読みください!!
舞台は中世、中央アジア。
主人公の旅商人リツが、イケメン騎士タルワールと共に旅をしながら商売をしていくお話です。
ちょっと恋愛要素が盛り込まれたファンタジー小説といった内容なのですが、そこに経済学や、先物取引の話、政治学や地政学などまで、盛り込まれています。
読み物としても、とても面白いのに加え経済学なども覚えられるって、とても素敵なことだと思います。
私は、「だって、お金が好きだから」を読みながら
「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」という小説を思い出しました。
略称「もしドラ」
漫画やアニメにもなった作品なので、知っている人もいるのではないでしょうか?
「もしドラ」は、野球部のマネージャーを引き受けた女子高生が、間違ってピーター・ドラッカーの『マネジメント』を読んでしまった。という設定で、甲子園を目指す野球部の話の中で、経営学が分かりやすく語られています。
ドラッカーの『マネジメント』を読んだことがあった私は、「もしドラ」の分かりやすさに驚いたものです。
同時に先に「もしドラ」を読んでいれば、『マネジメント』ももっと楽しめたのにとも思いました。
経済学や経営学の本って、難しいものが多いんですよね。
だいぶ、脱線しましたが、
【楽しく小説を読んで、同時に経済学などを学べるって素敵なことですよね!】
ということが言いたかったんです。
それがきっかけで、経済学などに興味を持つ人が居たら、また素敵だと思います。
そんなわけで「だって、お金が好きだから」は、世の中に広く知られてほしい小説の一つです。
是非一度読んでみることをオススメします!!
経済ファンタジーというと、皆さんどのような作品を思い浮かべるでしょうか?
個人的には『狼と香辛料』『魔王勇者』『アニメ C』など大好きな作品が沢山るジャンルです。
ただ、難しい題材を扱うだけに作者にも高い知識と解説力が要求され、名作に出会える機会もそう多くないと思います。
そんな中で確実におすすめ出来るのが本作。
エピローグの『値切り』から始まり、それに続き『先物取引』など経済の話、はたまた地理学や戦争学などを、ファンタジー世界を舞台にしたお話で分かりやすく体験させてくれます。
また特にお勧めなのが、意外かもしれませんが『解説』話。
本文で難しかった部分を、別話で大変わかりやすく解説してくれるため「あぁ、そういう事だったのか」と後から振り返る事ができます。それだけでも色々な知識が学べてお徳な小説です!
あと、主人公の女の子の性格がとにかく可愛い! これは大事!
『神はなにを根拠に夏という季節を創造したのであろうか、私になにか恨みでもあるのだろうか』
少し気怠い系の秀才女子です!
この物語は女商人リツが、細腕一本で商いの道を邁進するヒストリカルドキュメンタリーである。
嘘です。
少々、プロジェク〇X風に誇張が入りましたが、謎を秘めた女商人リツを通して、現代に通じる経済を学びながら、文化や歴史まで感じ取れるという一粒で二度おいしいなのです。
亡国の悲哀を味った孤高の騎士タルワールとの二人旅ではロマンスも生まれそうで……生まれません!
だって、お金が好きだから!
オチがよろしいようで……ではなく、これもリツが契約で色恋禁止の条項を加えたせいという契約大事ですというお話。
契約は経済の取引においても重要な鍵になるということも学べますよ。
経済を主軸にする、という形であらすじは書かれています。
その通りの掴みの1話となるのですが、それ以上に主人公が魅力的に描かれています。
いわゆるツンデレかと思いきや、デレ要素皆無のためにツンドラ状態ではあるのですが、会話間の内面描写が尖った言葉を使っているにも関わらず、鼻につくことがない絶妙の塩梅で描かれています!
初期は緩く始まっていく、と明言されており、ただ移動する、ただ契約を確認する、というだけの話であるにも関わらず、主人公のキャラ設定がこの時点ですでに独り立ちしているレベルで確立されているため詳細な描写につい引き込まれていくでしょう!
他の小説では見られない題材と魅力あふれる主人公の物語をぜひみなさんにも読んでいただきたいです!
※ちょっと初期のネタバレ要素を書いてしまっているので、問題あればネタバレチェックいれるのでご指摘ください。