特筆すべき読書体験をさせられてしまった……

読んでる最中に、アハ体験的ななにか頭の中で音を立てて変容するような感覚さえ感じてしまいました。うーんすごい

主人公はまず、理解不能な気持ち悪い女としてお出しされ、本当に拒絶の対象になるしかないような書き方をされていて、読み手としても本当に「気持ち悪い」「意味がわからない」というふたつの印象しか持つ事ができないのですが、視点がかわった途端、まさに話が変わります。

気持ち悪い、という感情が彼女自身さえそう感じる共通点であるという事が示された瞬間に、理解不能な存在ではなくなってしまう。
小さな共通点を足掛かりに感情移入の経路がわずかにでも一度繋がってしまうと、今まで拒絶一辺倒だったのが、理解しようとしてしまうわけで。


ちょうどそれが、事が全部終わったあとで麻痺していた諸々の感情がぐちゃぐちゃになって頭の中で荒れ狂う主人公の心境とぴったり重なってしまう。
これを狙ってやったのだとしたらすごいとしか言いようがない。星三つです