何かの詩的な比喩かと思いきや

 仲の良かったはずの女性ふたりが、その関係を破壊することになる〝とある秘密〟のお話。

 開幕からいろいろ全開の現代もの掌編です。ヒエッこわい……。

 女性同士の抜き差しならない関係を描いたいわゆる百合、それも相当に重たい愛が描かれているのですけれど、それにしても凄まじい内容の愛でもうドキドキしました。

 異常なモンスターのお話、というのは事実として間違いないものの、でも同時にとても悲しいお話。
 重すぎる愛を持て余すと同時に、人並みの常識や理性を兼ね揃えていて、それゆえの(=相手を傷つけないための)秘密の告白……と思うと、グッと胸に迫るものがあります。
 章変え以降の独白はもうなおのこと。

 確かに悲劇には違いない……のですけれど、でもやっぱり怖さが先に立っちゃうところも好き。
 強烈なインパクトと勢いがありながら、静かに心を苛む悲しさが魅力の物語でした。