あとがきです
今回は大筋は予定通りなのです。文字数も予定通りなのです。
ですが、途中途中の展開が全然予定通りじゃない! もっとこぢんまりさせようと思ったのに、よくよく考えれば考えるほど、神々を出さないわけにいかなくなったのです。
今回、目指したのはすべての神話が一つであったと感じてもらえるようなものです。
最初プロットを書き始めたときは「もふもふお狐さんの勘違いコメディ楽しいね! 可愛いね!」くらいの作品を目指して書いたんですが、その途中宗教学者ミルチャの言葉や本地垂迹説と出会いました。
それは本埜に宗教差別は悲しいなと思わせるものでした。自分が尊敬する人、自分が好きなもの、これが蔑まれるのは悲しいと思います。宗教もそうなのではないかと思いました。
全ての神話が一つだったみたいなロマンと融合させて、いろいろなことを考えました。
結果生まれた、クー子は一言で言ってしまえば“神と人が再び交わりゆく、神代の再来の物語”であると本埜は主張致します。
妄想と言ってしまえば妄想です。でも、創作なのでそこはお許しを。
さて、クー子にはできれば力を借りて書き直したい部分がございます。
縄文語などです。悲しいことに、本埜は考古学者ではないですし、さほど勉強もできる方ではありませんでした。なので、知識が不足しました。
もしも読者様に専門家の方がいらっしゃいましたら、縄文語を教えてください。本埜は泣いて喜びます。
今回は、創世神話型に分類されるような作品を目指したつもりです。
“八栄えの世界はこうして訪れた”という最新の神話を……と。
しかし、英雄神話プロットは魅力満点で、参考にしないわけに行きませんでした。
上手く出来たかどうかはわかりません。長編完結は二回目です。
ですが、今回は四柱の英雄がいました。それぞれ、少し語らせてください。
クー子
対称性の欠損:母性に溢れる人懐っこく優しい神であるのに、人間にだけは苦手意識を感じてしまう。
旅への召命:一度受けて、拒否したあとから物語は始まり、玉藻前から再度召命を受けて段階的に旅立つ。
賢者としての存在:宇迦之御魂神
母性的自然:稲荷神族の存在
父性的文明:神としての仕事とインターネット
動かざる動かし手:高天ヶ原
通過儀礼:神にもしない人を、自分の幽世に招いた
対称性の欠損を抱えたクー子という跛行者は、
やがて克服し、正一位として主神になるという権威を旅の報酬として手に入れる。
対称性の欠損:愛玩という形の愛の中で育った、愛を欲する幼子
旅への召命:幾度となく段階的にクー子を通して人と関わりあうことによってゆっくりと召命を受けた。
賢者としての存在:クー子
母性的自然:高天ヶ原
父性的文明:神の仕事
動かざる動かし手:底津綿津見
通過儀礼:天沼矛を手にする
今回一番わかりやすく跛行者だと思います。もがき苦しみながら前に進む、そんな感じの運命を彼女に課してしまった気がします。
ですが、最も成長したのは彼女です。今や伊邪那岐の道先となりました。最も長く物語に駐在した英雄神話オマージュの物語の主人公です。たぶん、彼女主人公でもかけます。
彼女は天沼矛による呪いの痛みに耐え、神々の仕事に参加し、クー子という戦利品を得て日常へ回帰したと言えるでしょう。
別にクー子をモノ扱いしているというわけではありません。ただ、そのような表現がされている金型を参考にしただけです。
みゃーこ
対称性の欠落:心は十分に育っていて達観すらしているが、人化がうまくできず、獣の手では役に立ちたいという願望をみたせない。
旅への召命:
賢者としての存在:
母性的自然:クー子
父性的文明:神々の社会
通過儀礼:クー子による人化の再確認
動かざる動かし手:高天ヶ原
たまったものではありませんよね。ある日突然引き返せない旅路に放り込まれたようなものです。
ですが、その旅を完走できたのはみゃーこが
もっとも短い英雄神話オマージュは彼女でしょう。ですが、物語をよく動かしてくれました。
蛍丸
対称性の欠落:人の体に、希薄な感情
旅への召命:クー子との出会い。彼女は拒否をしなかった。希薄な感情でただ従った。
賢者としての存在:玉藻前
母性的自然:クー子
父性的文明:素戔嗚
通過儀礼:クー子の任命式での感情の再確認
動かざる動かし手:クー子の幽世の台所
料理を通してどんどんと心が開花していくという話だった感じです。
彼女は感情という戦利品を手にして日常に回帰した英雄神話オマージュのストーリーを描いてくれました。
これが作者にとって最も予想外でした。最後の最後までそれに気づかないままいました。彼女は勝手に歩みました。作者もあずかり知らぬところで。
本埜としてはこんなつもりです。ですが、解釈は読者の皆様に委ねたいと思います。
またしても50万文字。今回はそれなりにオーバーしてしまいましたが、まぁ50万も書いたのです。一万や二万は誤差としていただけると幸いです。
とても書いてて楽しかった。本埜は大満足です。
最後まで見てくださった皆さん。
コメントくださった方も心から感謝しております。
最後までかけるのはきっと、読者様たちのおかげであり、つなげてくれたのは単純に奇縁でしょう。
たまたま本埜は幻想に没頭するのが好きで、それを書き留めておきたい気持ちがあって、それを楽しめた。本当に、たまたまです。
であれば、本当に本埜は運が良かった……。
空狐なクー子はリアルです! ~もふもふお稲荷ママ、大切な狛狐のために頑張ります! 神様のお仕事と配信業! VTuberって言っておけば、狐でも大丈夫なんだよね!?~ 本埜 詩織 @nnge_mer2
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます