「このタイトルそういう意味だったんだ!?(※61話にて受けた衝撃)」

それまで特に気にしていなかったタイトルが61話で回収されたときの驚きといったら、もう(※ひとこと紹介からの続き)

さて。以下本文です。
成人と同時に故郷を旅立ち、冒険者となった少年アンデリック。
彼と彼を取り巻く仲間達の、時に騒々しくも和気藹々とした冒険者ライフを描く物語が本作です。

――と、概略だけ語ってしまうとよく似た構図の物語は世に多くあるように思われますが、本作で特筆すべきは、物語の導線である「冒険者としての日々」の描写が非常に丁寧だということです。
魔物との戦いや遺跡の探索といった冒険者ものの定番・王道だけでなく、お店のお手伝いや店番といった、たぶんあんまり実入りのいい仕事がなかったときに受けていそうな日々の雑多なおしごと、あるいは初めて訪れた街の街歩きから、先達の胸を借りての訓練、パーティの仲間が新たに増えるまでの紆余曲折に至るまで、ゆるやかに丁寧に、時にアンデリックの凄いところを見せながらも、まるで作中世界での暮らしそのもののように、冒険者としての日々は一歩ずつ、ちいさな歩みを重ねてゆきます。

特別な力はあるけれど、いきなり強くはないみたいです。装備もけっこう普通です。
いきなりでっかい一山当てたりはしないみたいです。最初の依頼でどかんと凄いとこみせて、冒険者の最高ランクにのし上がって有象無象を驚愕させたりもないみたいです。

その代わり、別々の道を歩いてきた登場人物がひとつのパーティとして集まり、仲間として時間を育み日々の成功を積み重ねてゆく、確かな冒険がそこにあります。

たとえばテーブルトークRPGなんかやっていると、序盤の頃のレベルアップ、そのたびに新しいスキルや技能を継ぎ足して、できることが広がってゆく、キャラクターが成長途上の頃にこそ強く感じられる楽しみがあります。
本作はそうした楽しさが、ぎゅっと詰まった物語です。

異世界のキャラクター達と、「一緒に冒険する」「世界を見渡す」物語の楽しみ。
皆様も是非、いかがでしょうか。

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