概要
渚を走る、雲の影に包まれて。
あなたと生きてみたかった。
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- ★★★ Excellent!!!夏の海で知った初恋
高校時代、少女ふたりで海に行った思い出と、それから数年後の再会のお話。
女性同士の関係性を描いた、いわゆる百合もののお話です。
恋愛したり失恋したり、友達に友情以上の感情を抱いたり……というような描写はあれども、しかし恋愛劇というよりは確かに現代ドラマといった趣の物語。
とにかく文章が好きです。
とても静かで、でも自然に物語に引き込んでくれる文章。
一歩一歩踏み締めるように綴られた主人公の内面、それそのものに何か妙味や滋味のようなものがあって、文章を読むこと自体に楽しみがありました。
物語として描かれているもの自体も大好き。
単純な一語や一文では言い換えのきかない、細…続きを読む - ★★★ Excellent!!!企画入賞レビュー「百合初恋vs過ぎ去りし時間」
同性愛を扱った作品は作者の価値観を前面に押し出したものが多く、その凄まじい熱量に読者が付いていけないケースもままあるもの。しかしこの作品はプラトニックな愛と過ぎ去った時の残酷さをテーマとしたものであり、そうした心配とは無縁である。
哀しいかな、三つ子の魂百までとはよく言ったもので。人間の本質は年齢を重ねてもそうそう変わるものではないのだ。そして、そうした本質を含めた上で「自分を愛してくれる」存在は人生において貴重なものであり、生涯忘れることのできない友達以上の相手。ましてやそれが初恋の人であるならば尚更であろう。
一方で流れる時の残酷さは多くのしがらみを生み、人生から自由な選択肢を奪い去って…続きを読む