その踵に菫

　三年前、私は調香師だった。夫の要望で、主婦となった。この人と一緒になっていなければ、今頃私は――

　傍若無人な夫の要望で調香師としての仕事を辞めた主人公、涼子。満たされず、夫にも虐げられる日々の中で、彼女は小さな幸せを見つけていこうと足掻く。そんな中、かつての上司と再会した涼子は自分の気持ちを抑えきれない。
　一方その頃、夫の勤める会社ではある事件が起こり――

　『赦しとは、踏みにじられた菫の花がその踵に放つ芳香である』――マーク・トウェイン


※一応、現代を舞台にしておりますが、登場人物の価値観や、セリフの語調を、どこか少し昔の日本を思わせるような雰囲気にしております。
※あまり気分の良い話ではありません。胸糞注意です！　笑
※monogataryのお題で、香水にまつわる物語として執筆したものです。