恐るべきは人間の心の動き。

良質なホラーだった前作「ナイトステップ」の続編ですが、今作はホラージャンルではありますが、死者の霊との関りが主だった前作とはうって変わり、生者の情念、生霊が相手となります。
主人公碓氷修哉の友人、梶山は生命力が強く、闊達で死霊を寄せ付けないリア充と言って良い大学生です。
そんな梶山に、女の生霊が憑りついているのを碓氷修哉は見てしまいます。
交友関係も広く誰にでも好かれる梶山だけに、一方的に好意を寄せる女性の逆恨みか、と主人公も読者も思いますが、実は……
この実は……の部分が明かされたとき、人間の心の動きは恐ろしいものだ、と感じることでしょう。

前作に比べると日常のテイストが強いため、ホラーというよりは謎解きといった趣になっているのではないかと思います。

実は……の部分を是非読んで確かめていただきたいと思います。