第7話 城の外の生活は 1
山田が城の中で魔王の仕事をしている一方で、アリアは城の外へと出た。
そのままの格好では魔王であるとバレるので、庶民の服装に着替えて、さらに雰囲気や顔つきを変える魔法をかけた。男性や動物など完全に異なるものに変身することもできたが、そこまではしたくなかったので庶民のおしゃれな町娘という感じにしてみた。
これから2週間、城の外で暮らすつもりだ。山田の指輪には数週間変身していられるだけの魔力を込めている。ボルスもそばについているし、大丈夫だろう。
城から離れるにつれて、街の雰囲気も変わっていった。家は古くなり、道は舗装されていない土がむき出しの道路に変わった。野良猫を何匹も見つけた。
「いい雰囲気だ。これぞ求めていた自由だ」
目指しているのは下宿先のアパートだった。ボルスが手配していて、食堂の上の階を借りているらしい。庶民の食堂だ。汚くて、騒々しくて、汗臭い労働者や酒臭い飲んだくれがたむろしている店なのだろう。アリアは想像を膨らませながら下宿先へと向かった。
「……なんだ。これは」
目的地についてアリアがついて目にしたのは、想像とは全く違った店構えだった。そこは真っ白な壁の高級なレストランだった。
「思ってたのと結構違うな……」
アリアは不審に思いながら店の扉を開いた。
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