第10話 カフェ 1
アリアはカフェに行った。
首都を東西に分断する大きな川の西側にあるカフェ。西側は比較的治安が良い、小綺麗な街だ。
王室で使っているような高級な食器ではないが、シンプルで実用的に洗練されている。
「コーヒーをひとつください。お砂糖をつけてください」
アリアは飲み慣れないコーヒーを、砂糖を入れずに少しだけ口にした。苦い。砂糖を入れる。
カフェの中には一人で新聞や本をを呼んでいる男の姿があった。数人で集まって話している人々もいた。女性の姿は少ないが、いないわけではなかった。テラス席に二人で座っている女性の姿があった。女性たちは小さなペットの獣を連れてきていた。
アリアは持参してきた小説を開いた。家でも読めるのだが、こうしてカフェでコーヒーを飲みながら読んでみたかった。
カフェの中はザワザワしていたが、なぜか家よりも集中して読むことができた。
不思議な感じだが、アリアは城を出てきてよかったと感じた。精神的に自由な気がした。なぜだろうと考える。城の中でも自分は自由で安全でなんだってできたはずだ。カフェでは自分の城のように好き勝手にはできない。しかしそれは他の客も同じだ。好き勝手できないが、他のものから過度に干渉されることもない。その適度な距離感が良いのだろう。おべっかを使う人も、甲斐甲斐しく口を挟む人もいない。ほって置かれるのが気持ちい。
魔王ですが革命が起きそうです 九夏三伏 @NwxRFU
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