第9話 偽りの王の生活 1

 アリアが城の外で生活を始めた一方、山田は偽りの王の生活を謳歌していた。


 山田は城を離れた荒野にいた。城や町と違って誰の姿も見えない。山田は手を開いて前に差し出す。ベジータがビッグバンアタックを放つときの格好のようだ。


 山田の手にエネルギーが集まる。そしてそのエネルギーが一気に放出され、轟音とともに大地が削られた。


「気持ちいい〜」山田は思わずつぶやいた。もちろんこれは山田の力ではない。アリアから貸し出された魔王の力だ。魔王の100%の力には遠く及ばないものの、町一つかんたんに吹き飛ばせるぐらいの力はある。


「力を試したいということでお連れしましたが」ボルスが小言を言う。「魔王様の力を使うのは慎重にすることだ。くれぐれも軽はずみなことはしないように」


「わかってるって。でもこうやって本当に力を使えるってことが自信になって、より本当の魔王らしく振る舞えるだろ。力がなくて自信がない魔王なんて、そのうち内心を見透かされるさ。これはそのために必要な訓練さ」


山田は竜にまたがった。竜は大空に舞い上がった。大空を駆けるのは最高に気持ちいい。山田は遠くの空に向かってエネルギー弾を放つ。その光は昼間の空に吸い込まれていき、すぐに見えなくなった。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る