とろける可愛さの幽霊少女は甘くない

 古来より異類婚姻譚などがあるように、人あらざる者の魅力というものは、計り知れないものがあります。ひと昔前は異能使いの浮世離れした美少女、昨今では異世界のエルフなんかが代表例に挙げられるでしょうか。
 本作でも、その魅力は発揮されています。映画から飛び出した、不気味で恐ろしいけれど甘いものが好きな幽霊少女・セリエル。彼女と怪異に挑むファンタジックホラーは、セリエルの魅力と共に、力強く牽引されます。
 出会いと可愛らしさが押し出された第1章から一転、悪霊としての本性が剥き出しとなる第2章で、更にその魅力に奥行きが生まれたと感じました。

 曰く、バケモノにはバケモノをぶつけんだよ。
 あるいは良薬は口に苦し。
 悲鳴(スクリーム)を奏でる幽霊少女は、決して甘くありません。

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