こんなに重厚な物語が、こんなに読みやすく仕上がっているなんて!

恋するパリジェンヌ、アーティの軽やかな日常から始まったはずの物語は、気がつけば不可視の化け物、それを追う秘密組織、人の理を外れた不死者たちに取り囲まれて密度を濃くしていきます。
色鮮やかな絶望、抱えきれないような憎しみ、心が痛くなるほどの愛……さまざまな出来事を、人より少し多くの色を映すその瞳で捉えながら、それらとまっすぐに向き合ったアーティが辿り着く、新しい世界とは。

残酷な描写もあれば、胸の痛くなる事件も起こります。
けれど、だからこそ、差し込まれた日常や何気ないやりとり、関係性を変えていくキャラクターたちの人間模様や明かされていく過去が輝いているのだと思います。
ラストまで読み終えればきっと、その新しい世界を応援したくなるはずです。
ぜひ、この美しい世界を体験してみてください。

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