概要
少年は宵の空に思う。自分は誰かを救えるのか、その価値があるのかと。
少年はヤマダと言う。
齢は十五、六。名前は彼が名乗らないのでわからない。
ヤマダは花咲か爺さんよろしく桜の種を蒔いているわけでも、初々しい臙脂色の正装の仕立てを生業にしているわけでも、宴会の席にパッと笑顔が湧くような秀でた一芸を持っているわけでもなかった。
それでもヤマダが「春を売る少年」であるのは、言葉の通りだった。
齢は十五、六。名前は彼が名乗らないのでわからない。
ヤマダは花咲か爺さんよろしく桜の種を蒔いているわけでも、初々しい臙脂色の正装の仕立てを生業にしているわけでも、宴会の席にパッと笑顔が湧くような秀でた一芸を持っているわけでもなかった。
それでもヤマダが「春を売る少年」であるのは、言葉の通りだった。
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