ゾンビは猫好きだったのかもしれない

ガッ!


 玄関に入ってきたゾンビをバットで殴打し、ゾンビの胴体に蹴りを放つ。


ガチャリ

 

 素早く玄関のカギを閉め、部屋の電気を消しその場に伏せた。


「……」


 よく考えたら、部屋の電気を消す必要はなかったな。



「……」



ゴロゴロゴロゴロ



(ああああどうしよう、もう終わりだ……)



ゴロゴロゴロゴロ……



 しばらく床で転がった後、しょうがなく立ち上がった。カーテンの隙間から外の様子を伺う。


「……」


 街灯に照らされたゾンビは4、5体ほど存在しており、それぞれが自由に住宅街を徘徊していた。雨が降ってないのに至る所に落ちてる水溜りは、何を示しているのか考えたくない。


 今はとにかく睡眠を取ることにした。


◽️◽️◽️◽️


 翌日の朝、ぼんやりと窓から外の様子を眺めていると、電柱の影から茶トラが飛び出す様子が見えた。


 猫……!?


 近くにはゾンビが徘徊している。

 危険を感じてすぐさまバットを握りしめると、慌てて扉の鍵をかけ、走って現場に向かった。


ガチャリ


 コンクリートの道路には数体のゾンビが徘徊している。

 すぐにこちらに襲いかかってきたゾンビをバットで殴打すると、曲がり角を曲がろうとしている茶トラを追って走った。ゾンビの顔を見ている余裕はなかった。


トン、トン、トン


 横からゾンビが現れる。


 ゾンビにおそらく認識されたが、足元をすり抜けて行った茶トラでゾンビの気が逸れたようだ。そちらに顔を向けた後、ゾンビは背中を向けて茶トラを追った。


タタタッ


「なんで猫を追いかけるんだよ……!」


 去って行ったゾンビを追いかけつつ、現状を把握しようとするが訳がわからない。

 だが、この奇妙な日常はいつまでも、いつまでも続くことを知った。







——MERRY BAD END『変わっても変わらない日常』














—————————————————————

※ここでストーリーは完結になるため、主人公視点も同時に終了になります。


(本作品はフリーホラーゲームをイメージして創作した物語になっています。次話からは過去に遡り、主人公の選択によって変化した、今までに登場したキャラクター視点の物語を展開する予定です。)

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