ゾンビがいる町

こと。

ある日カーテンを開けると、窓にゾンビが貼り付いていた

「……ここ3階だよな」


 暑くなってきた今日この頃。カーテンを開けると、視界いっぱいにゾンビが貼り付いていた。


「……」


 顔色は青白く目は濁っていて、腐ったような頭から脳みそが覗いている様子は間違いなくゾンビだ。

 しかし、どこかから吹き飛ばされて衝突したのか、ひしゃげて窓に貼り付いている様子は実にシュールであった。


バンバン


 とりあえず手の平で窓を叩いてみると、重力に逆らえなかったゾンビはずるずる下に落ちていく。


 ……。


 そのままカーテンを閉めると、電気を消して布団に入った。


◽️◽️◽️◽️


 一週間後、寝不足のまま会社に行った私は、とぼとぼと帰路を歩いていた。

 

 そもそもゾンビとは何なのか。どうやって生まれて、何でこの町にやって来たのか。現在、存在するのは一体だけなのか。気になって眠れないのはあたりまえだった。


 あの日から、毎日のようにゾンビは窓に貼り付いていた。


 寝不足の恨みが募る中、数メートル先の曲がり角からゾンビがふらりと現れ、正確にこちらを視認した。

 昨日のゾンビだ。そう思うと、先手を打って行動せざるを得なかった。


 ここで会ったが100年目。助走をつけ、全力でゾンビに蹴りを放つ。

 呻き声をあげてこちらに向かってきたゾンビは、あと一歩のところで鳩尾に蹴りが入り、空を飛ぶ。

 ゾンビは勢いよく吹き飛ばされると、近隣住宅の窓にベシッと張り付いた。


 さて、帰るか。








「ぎゃーーー!」


◽️◽️◽️◽️


 帰宅する頃にはパトカーのサイレンが鳴り響き、カーテンが光で点滅している。


 ……あのゾンビ、通報されて警察に捕まったのか。


————————————————————













 続く。

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