第7話 神聖化

あの後は特に何もなく、マリア様がお降りになられたと興奮冷めない様子だった。(ちなみにあのいじめっ子は気絶していた)


俺か?俺は特に(お〜。なんかスゲェ聞き覚えがある名前だなぁ……)って現実逃避してたよ。


さて、俺は帰り道に現在建設中の新しい教会を見てきた。


あの落下したHBMを中心に建設されている事から機械神を信仰する協会だとわかった。


テレポートして突如として魔物が立ち去ったらしい。アエローに何かしたのかと聞くと【昔、魔物自体に種としてトラウマを植え付けたのです。その機体にこれがあったので引いてくれたのでしょう】との事。


種としてのトラウマって……後々の子供もそれを見ると怖いと感じるってことだろ……どんな事をしたのかはまあ想像はつく。


しかし、同時に【最近になって抗体を持つ種が多くなってきましたので、8年頃にはもう効果が無いかと思われます】ともわかった。


つまり、あと8年。8年の間に魔物から身を護る術を見付けないといけないってわけだ。


(しっかし、最近魔物の襲撃激しく無いか?あれから頻度が少なくなったとはいえ、街はまだ復興作業中。襲撃も学生ラーメンに通う中学生並みにあるし、何か裏があるんじゃないのか?)


【その可能性についてですが、最近魔物の指揮をするような個体を見付けました】


(マジで?)


【はい。帰ったら見せますね】


(ああ、頼む。それと、多分この調子で行ったら、帰るのは多分遅くなると思うからよろしく)


【了解しました。それではごゆっくりとお楽しみください】


(おう!)


あとは言った通りに遅くまで買い物や屋台を見て回って楽しんだ。


名付けの日だからか屋台がいつもより多かったので、ちょっと散財したが……ん?そういや夜ご飯について言ったっけ……?


『おかえりなさいませ。今日は少し奮発して豪華なディナーにしましたよ』


「「………」」


「だからあれほど腹は空かせときなさいよと言ったのに……」


『まあ、予想していたので少なめにしましたよ』


「「よかった……」」


『変わりにお二人の嫌いなキノコとピーマンたっぷりですよ』


「「え?」」


有無も言わさない圧に屈した俺達は鼻を摘みながら水と一緒に飲み込んだ。


はっきり言おう。俺はキノコのムチャっとした食感やピーマンの複雑な苦さは拒絶反応を引き起こすほどに嫌いだと。


水はお友達。多分人生で一番感謝できるね。


「あ、アエロー。あの例のやつ。説明してくれ」


『わかりました。こちらが写真となっております』


写真にはサル型の魔物の中心で偉そうに踏ん反り返る姿のゴリラが居た。


「なんか暴君って感じのやつだな……」


『個体としては強く凶暴で、集団としては指揮者として君臨はしていますが、力で捻じ伏せている感じです。また、指揮能力は皆無でとりあえず突撃させて自分は安全な場所で踏ん反り返る感じですね』


「なんかあれだな。アニメ版ジャイ○ンみたいだな」


『同感です。では、私達はドラえ○んとして活躍しますか』


「ん?しず○ちゃんじゃなくて?」


『ボ○て版○ずかちゃんですか?』


「まあ、そんな所。仲介者として完全に人間側には味方せずにできるかなって」


『難しいでしょう。なにせ肝心のHBMはエネルギー足らず。この一戦で基地へ帰るエネルギーが無くなります。せっかくテレポート可能なまでにエネルギーを貯めたんですよ?』


「でも、向こうに行ってる間の危機管理はどうするんだ?」


『確かにそうですね……まあ、最低限のエネルギーであれば大丈夫でしょう』


「そういえば、現在どの程度エネルギーが溜まってるの?」


『現在は7%ですね』


「2年掛けて?」


『2年掛けてです』


凄い大容量だな……


「ちなみに稼働可能時間はどのぐらい?」


『最高効率で2週間ちょっと。最低効率で3時間ですね』


「なるほどね」


『良いですか?あくまでも私達の目的は都市の再活性化です。それによる魔物の駆逐。そして、人類の進化が最終目標なんですよ』


「わかってる。でも少しぐらいなら大丈夫だって。な?」


『(ため息)わかりました。でも、あまり長いと生きてる間に終わらないかもしれないんですからね?』


「わかった。わかったって。そろそろ俺は寝るから、来週作戦実行な?」


『わかりました。機体調整をしておきます』


そして俺は眠りについた。


来週、またあのロボットが目覚め、今度は俺が操縦する。


そう思うと少し……いや、ものすごくワクワクした!!……眠れませんでした。

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