第6話 名付けの儀式
「おいおいおい!なにしとんじゃワレェ!?女一人に大人数で男がたかりおって……」(主人公)
「な、なんだ!?おまえ……」(加害者)
【言い方……】
「おい、大丈夫か?そんなに傷付いて……血も出てんじゃねぇか」
【血ですか?どの程度の?】
(かすり傷程度だ。ほっときゃ治るがこれから名前を貰うんだ。こんなに綺麗なのに傷があると困るな……治療しても良いか?)
【ご自分の判断を信じてみては?】
(ならやる)
「アクアヒール」
手から出てきた水が傷口に触れると土や血が取れて綺麗な肌へと戻っていった。
すると突然周囲がざわついた。
(ん?思ってたよりギャラリーが多かったみたいだな……)
【まあ、喧嘩に突然仲裁者が現れたからですね。この時代ではとても珍しい事でしょう……】
ヤベェな……あまり目立つ事に慣れてないんだが……
「おい、これ以上女を傷付けるのなら……見ている神はあんたを見捨てるだろうよ」
「な、なにを……」
「これ以上この子に関わるのなら……俺がその相手になってやるよ」
困惑している彼等だが……多分一時的。すぐに気を取り直して歯向かって……
「チッ!」
舌打ちを残して彼等は去った。
……やべ。こっからさきかんがえてなかった。
「大丈夫か?」
まあなんか適当に言ってこっから離れよう。
少女に手を差し伸べて立つのを補助する。
「綺麗な衣装に土が付いてるな……奴等からは前から虐められてたのか?」
少女は首を横に振って否定する。
なるほど……突然虐められたって事か。
とりあえず衣装に付いたホコリや土を払い、綺麗にする。
流石に破けたのはこの場では縫い糸も針も無いので出来ないが、まあ見た目はまあまあ良くはなった。
「ま、珍しがられて好奇心から虐めに変わったんだろ。あんた肌が白くて綺麗だからな」
少女がピクリと反応した。……臭かったか?
「んじゃ、気を付けろよ。今度助けられるかはわかんねぇからな」
そう言い残し駆け付けた両親と一緒にここを離れる。
遠くで見ていた両親からちょっと説教を受けて褒められた。
「いいか?あまり目立つような事をしたら、今度はお前を攻撃しだす。わかるな?」
「うん。でも、あれは男としては許せないだろ?」
「……まったく。俺よりも男らしいな。まさか惚れたとか?」
「まさか?一目惚れしてるのならもっと徹底的にしてるさ」
「それもそうだな!!」
「「アッハッハ!!」」
ゲンコツされました。なんで?
たんこぶを乗せたまま迎えた名付けの儀式。
俺の名前はユウイチとなった。
風変わりな名前に少し興味を向けられたが、まあ次の子の名前に会場の興味が向いたのですぐに忘れられただろう。
「ま、マリア・ミリル……マリア様の名前が付くとは……」
マリア。それは最高司祭すらも崇める現人神のような存在に付けられる特殊な名前。
聖母マリア。あの白い肌を持つ彼女が6代目マリアだった。
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