第2話 HBMプレイヤー
汚れの無い空気。
レンガの壁で彩られた街。
そして、聞こえてくる爆薬の爆発音。
「また出たのか」
「最近魔物の襲撃が多いわね……あなた、そろそろ寝ましょう。この子も眠たそうにしてるわ」
日本語として聞こえる母の声。
父がそれに頷き、俺を抱いて寝室へと向かう。
最近こういった爆発音が多く、両親の顔色も悪くなってきた。
昨日も爆発音が激しく轟き、両親に強く抱き締められて気絶するように眠りについたものだ。
「この子は強いな……普通なら泣くはずなのに、顔色一つ変えない」
「顔色は変わらなくても、不安そうにしてるわ」
「ああ……そうだな。この子は強いけど、まだ子供だ。俺達がしっかりしないとな……」
「でも頑張り過ぎは体に良くないわよ」
「わかってるさメリー……」
そう言い頬に親父がキスをした。
幸せな夫婦だな。しかし、この爆発音が今後も続く限り安心して眠れそうには無い。
最低限、深夜には目を覚まさせないように尿意を我慢する以外俺には出来る事は無い。
残念だが、親父の言う通りに俺は子供。出来る事などたかが知れている。
「おやすみ、メリー」
「ええ、おやすみなさい」
両親の温もりで眠りへと誘われていく。
だが……今日は何か嫌な事が起きそうな予感がする。
しかし、子供は睡魔には勝てない。
瞼が閉じると同時に意識もストンと落ちた。
俺が寝る前に感じていた予感は最悪の方向で現実で起きる事になるとは……まだこのときには知りもしなかった……
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