拙筆ながらレビューを失礼致します、、
怖いホラーを書くこと、面白いエンタメをバランス良く書くこと、これらを自分自身が実現できず、また実現できている作品は実はそんなに多くないと思っているので、本作を拝読した時はただただ羨ましさを感じました。
魅力的で印象的なキャラクターが登場し、ゾッとさせるようなホラーのシーンや注意を引く場面がテンポよく配置され、読者はすぐに物語の世界に引き込まれます。
ミステリアスな展開にはいくつも謎や伏線が散りばめられており、それらについて悩みながら読んでいくのも楽しいですが、気にせずにただ次々と起きるエピソードを追うのも楽しいです。
怪奇現象の仕組みや作り込まれた設定、さりげないけれど確かな存在感の脇役や風景描写なども物語に味わいと深みを与えていると思います。
ホラーには生きている人間が怖いタイプと死んでいる人が怖いタイプがあると思っていますが、本作では両方とも怖かったです。死んでいる人がホラー要素のメインではありますが、人の精神が生死の間で繋がっていることを感じさせられました…
まだケース1を読了したばかりですが、腹痛さんである卜部先生の設定や秘密がこれから明かされていくのが楽しみです!
キャラクターを立てながら恐怖を描くのはむずかしいことです。
人格を脅かすものが恐怖であり、ふたつの要素は二律背反になりかねない。しかしながら恐怖とは人間によって感じられるものである以上、どちらかが見劣りすればそれは恐怖小説としての価値を損なってしまうこと。
本作は真っ向からそれを乗り越え、おぞましい事件に命かけて真摯に挑んでゆく主人公たちを描いています。
そして、人間と超常の恐怖のはざまに立ちあらわれるもの、オカルトに関しても、しっかりと取り扱うことで、すべてに深みを与えている。
二人がどこまで闇の奥へと立ち向かってゆくのか。あなたも恐怖に耐えながらぜひ見届けて下さい。
クールな邪祓師の卜部さんと、優しくて芯の強い助手のかなめちゃん。
「心霊解決センター」に持ち込まれる依頼は、そんじょそこらのお祓いじゃどうにもならない案件みたいです。それはもう身の毛もよだつ恐ろしい事件の数々に、力を合わせて取り組むのですが……
この、心霊現象の描写が、本当に怖い。読んでいて実際に身震いしましたし、何度か後ろを振り返りました。卜部先生が真言を唱える場面では、思わず音読しちゃいましたし、手印も真似て結びました。(霊がこっちに来ないように)
でも、恐ろしい霊障には、悲しい背景があります。そこを無視しては解決には至らない。一見ぶっきらぼうに見える卜部先生ですが、丁寧に事件と向き合う姿勢に優しさが垣間見えて、とってもかっこいいのです!
解決の暁には、「事件ファイル」として事件の概要がまとめられます。そこにはかなめちゃんの「考察」も含まれており、謎だった部分をわかりやすく読ませてくれるシステム。ありがたいです。
怖い中に、先生とかなめちゃんとのユーモラスなやりとりも散りばめられていて、二人の関係性に和む場面も。
そうそう、かなめちゃん自身にも何か抱えるものありそうで……この先が楽しみな要素の一つです。
怖いけど、面白い! おすすめです!!
作者さまは、兎に角余白やオノマトペの使い方がとても上手です。更には物語の構成力や文章力もあり、それらが組み合わさることによって身の毛もよだつような恐怖が生まれています。
頁を進めるごとに、這いずるように近寄ってくる黒い影。それが形になるにつれ、徐々に早くなる鼓動。そして、それが唐突に姿を現したときの恐怖感。
心臓が幾つあっても足りません。
しかし、それだけではないんです。時折挟まれるコミカルな演出や登場人物の掛け合いにほっこりさせられることも・・・。
兎にも角にも、恐怖とのバランスが絶妙なんです。
実のところホラー小説は苦手な分野なのですが、そんな私でも手が止まらなくなりました。
ホラー好きな方にも、そうでない方にもおすすめです。皆さま、一度手に取ってみてはいかがでしょうか。一度読んだら、続きが待ち遠しくて堪らなくなりますよ。
怖いと思う根源がむき出す
削ぎ研いだ文章が呪そのものになったかのように喰らいついてくる。
呪がねり塊り邪悪そのものとなった現象が、神も仏も手が出せない状態で
「腹痛先生」のもとへ持ち込まれてきます。
腹痛先生=邪祓師の卜部は
元気可愛いバディ・亀(かなめ)をつれて邪悪を払う。
その方法は陰陽の道に深く基づき、人のこころに添い人道的で優しく感じ
怖い恐ろしいの暴風をあびた後だからこそ、ラストで感じる爽快感はクセなります。
女好きに隠れる本性が楽しみな水鏡や
ミステリアスまとう秘書の翡翠たちとのやりとりも、恐怖との攻防に明るく息つくエッセンス。
いま、ケース3。
強力な呪物が直接こ⃞しにきています。
腹痛先生=邪祓師の卜部はいつもどうりにひょうひょうと
「俺の結果が地火明夷。まあ困難でも明けない夜はないってことだ」
おたのしみになれますよ。