恐怖、オカルト、そして人間。すべてに死角のない良作シリーズホラー

 キャラクターを立てながら恐怖を描くのはむずかしいことです。

 人格を脅かすものが恐怖であり、ふたつの要素は二律背反になりかねない。しかしながら恐怖とは人間によって感じられるものである以上、どちらかが見劣りすればそれは恐怖小説としての価値を損なってしまうこと。
 本作は真っ向からそれを乗り越え、おぞましい事件に命かけて真摯に挑んでゆく主人公たちを描いています。

 そして、人間と超常の恐怖のはざまに立ちあらわれるもの、オカルトに関しても、しっかりと取り扱うことで、すべてに深みを与えている。

 二人がどこまで闇の奥へと立ち向かってゆくのか。あなたも恐怖に耐えながらぜひ見届けて下さい。

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