このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(267文字)
精神的な価値を持つ宝刀を失ったことで、思わず声を荒らげたお大尽様。無理難題にも動じない気概ある若者。揺るぎない信念に、お大尽様は家宝よりも大切な尊厳に気付かされたかもしれません。昔の人ほど命の尊さに重みを置きます。お大尽様は利己的な発言から若者の未来を奪ってしまったことに、深く後悔の念を抱いたことでしょう。語り部の口語調で進む物語が親しみやすく、その結末には若者の冥福を祈らずにはいられません。