君の好きなものを、僕は知らない

科学技術が進んだ近未来。

高層マンションで一人暮らしのコウキは、食物生成器で毎日、大好きなステーキを食べて暮らしていた。仕事は自分の嗜好にあったものが選べる、不自由のない世界。仕事の大半はアンドロイドに任せることができる。

そんなある日、あらゆる機器を制御する中央コンピュータがダウンする。全ての機器が停止した部屋から何とか抜け出した。そこで、女性『マヤ』に出会う。隣に住んでいたことを初めて知った。自然食とピアノを愛する、この時代では珍しい彼女に興味を持つ。彼女が働いている店へピアノを聞きに行く約束をして別れた。

コウキは勤め先である小さな会社でとある話を耳にする。付き合う相手がいない子供を心配して、親が子供にアンドロイドを贈るという話だ。しかも、そのアンドロイドは自分が人間であると信じ…続きを読む