清き裏切られ者の末路

　帝国で、戦闘狂として恐れられていた皇太子が死んだ。他国への侵略を生きがいとしていた皇太子が消えたことで、周辺の国は喜びをあらわにしていた。これでもう、安心だ、と。
　しかし、帝国の侵略は続いた。皇太子が生きていた頃の勢いは消えたものの、他国へと剣を向けることをやめようとはしなかった。
　やがて、人々は少しずつ理解することになる。本当の悪は、死した皇太子だったのか、それとも。
　一方、周辺国の中では、帝国からの侵略に立ち向かう、傭兵の一団が現れる。その団長として君臨する帝国出身の傭兵を、人々は傭兵王と呼んだ。彼は帝国で死んだ皇太子の右腕である、騎士団長ではないかと誰もが噂しているのだが。
　なぜ、帝国で侵略を望んでいた皇太子の右腕が、帝国に抗う存在となったのだろうか。そして彼は本当に、皇太子…続きを読む