運命のような出会いで、女傑ナージファの養女となったアイシャ。
女性の園である後宮で身を潜めるようにして暮らしていたアイシャが、赤き砂竜使いとして冒険の旅にでます。
気が弱くて臆病なアイシャ。砂漠の世界にすんなりと馴染むことができなくて、成長はゆっくりめ。
けれど運命は待ってくれません。
住んでいた村がなくなり、母親であるナージファは行方知れず。
従弟のファイサルと生きていかなければならない過酷な状況に陥ります。
砂竜のアジュルが誕生し、ワクワクする展開となっています。
私の一押しはファイサル!彼には伸び代がある!!赤の氏族としての誇りを垣間見せるシーンは成長を感じられて頼もしいです。
恋の期待をせずにはいられないのですが……アイシャとのやりとりはまだまだ子供。二人のやりとりがなんとも微笑ましくて、頬が緩みます。
また、謎が至る所に散りばめられているのも見どころの一つ。それがアラビア風の世界観と相まって物語に引き込ませます。
自分も砂漠の世界にいるみたいな風景の広がりやにおい、手触り、空気の流れ、人々の息遣い。五感が刺激される筆致はお見事としか言いようがありません。
荒々しい砂漠と、強く生きなければならない人間たち。楽しいだけではなく、過酷な現実も突きつけます。
けれど、かわいい幼竜のアジュルに読んだ人はみんな虜になるはず!
彼らと一緒に冒険の旅に出る感覚が味わえる、ドキドキハラハラのアラビア風ファンタジーです。
舞台は厳しくも美しい砂漠。臆病な少女が従兄弟と竜とともに旅に出ます。
愛らしい主人公・アイシャの成長を、幼少期から丁寧に綴ってあり、親のような目線でアイシャの行く末を見守りたくなる作品です。
臆病で慎重な主人公と、楽観的だけど頼りになる従兄弟の組み合わせは、一見凸凹コンビのように見えて、見事にバランスがとれています。主人公も従兄弟も、どちらが欠けてもこの物語は成り立たない。
そして、可愛らしい竜・アジュルの存在!甘えん坊だけど賢くて、もしかしたらすごい子なのかも?!
三人の旅路はどんな終着点を迎えるのか?これからも楽しく読ませていただきます。
大好きです。
構成が見事とか、文章力があるとか、そんな類いの言葉を並べると、逆に作品を曇らせてしまう。そう感じるくらい、とにかく何から何まで素晴らしいです。あまりにも魅力的すぎて、それを語るための力が自分にはないと、ハッキリそう思います。
それでもあえて感動を文章化するのなら……
ストーリーや登場人物等々が魅力的なのはもちろん、とにかく表現が豊かで美しいです。人物の動きが、心が、広大な自然が、想像力を働かせるまでもなく自分の中に広がります。しかも、くどくどと説明するのではなく、少ない言葉で、スッと入ってくるのです。
読み手は物語を通して砂を踏み、空を見上げ、人物と五感、感情までもを共有し、世界に没入できます。
また、ハイファンタジーなのですが、その世界は「存在している」と思わされるほどに完成されています。そこに息づく暮らし、気候、思想など。すべてがリアルに噛み合っていて、人間、竜、動物、自然、すべての生命が力強く生きているのです。
他の方々のセンス溢れるレビューに、このような拙いレビューが並んでしまって良いものかと悩みました。でも、好きを叫びたい気持ちが勝ってしまいました。
もうとにかく、一人でも多くの方にこの「砂竜使いナージファの養女」を読んでいただきたいです。そして、レビューでは絶対に伝わらない物語の素晴らしさを、文章の美しさを、ぜひ体験していただきたいです。
主人公はとある帝国の元皇女。登場人物などの固有名詞から、現実世界でいえばイスラム圏あたりと思わしき場所であることがうかがえます。物語の舞台はそんな魅惑的な砂漠風景と、竜や神の存在する世界。
まずは何といっても、その世界観の素晴らしさですね!
素晴らしい文章力と抜群の描写力はもとより、登場する名称の数々から物語を綴る言葉の一つ一つまで選び抜かれており、この素晴らしい世界観に対する雑音を感じさせません。
硬い語り口ながらも、見慣れない言葉にはしっかりとルビ(ふりがな)が付けられているので目が詰まることもなく、どっぷりと物語の中へ引き込んで貰えます!
次にキャラクタですが、私は正直な所、この主人公は苦手なタイプです。特に、彼女が「ある言葉」を発した時にはページを閉じてしまいそうになりました。もう一人の主人公といえる少年も、少々苦手です。――なのですが、この二人が一緒に登場すると、一転して好きになります!
彼女ら二人に限らず、とにかくすべての登場人物が魅力的です。しっかりと脇を固めてくれる彼らのお陰で、読者である私自身も、共に主人公らを応援したいという気持ちにさせてくれました。もちろん登場するのは善人ばかりではありませんが、だからこそ、すべての人々が意志を持って生きていると感じますね。ここに、紛うことなき世界が存在しています!
物語の構成もお見事で、時間の流れや場面の切り替えにも引っ掛かりを感じません。読みやすさはもちろん、書き手としても大変勉強させて頂きました。
途中、悲劇が起きることがあらすじの中で明示されており「この濃密な文章でその辺りの描写が鮮明だったらどうしよう」という不安もありましたが、その辺りも絶妙・完璧でした。やはり作者様がしっかりと、作品の肝を理解しておられるがゆえでしょう。安心して読めます!
こちらの作品、フォロワ様の書かれたレビューをきっかけに拝読させて頂いたのですが、素晴らしい作品を紹介して頂き本当に感謝しております!
また、この素晴らしい物語を創られた作者様にも、心から感謝を!
これからも楽しみに読ませて頂きます。まだ読まれていない皆様も、是非ご一緒に!お勧めです!
砂漠地域を舞台に、過酷な運命に翻弄される少女と少年の成長と使命を描く物語です。
主人公は帝国の皇女として産まれたアイシャ。幼少時の思わぬ冒険で泉に落ち、ナージファという女性に助けられ、彼女の養女となることによって、後宮住まいの立場を後にし、砂地の遊牧民族として育つことになります。
序章、赤の章、白の章と、章の変わり目には年代が経過してゆく、まさに成長物語。臆病で慎重なアイシャにはその度ごとに大きな試練が降り掛かります。身体能力や意志力が秀でているわけでもなく、どちらかといえば翻弄されることの多い彼女ですが、その慎重さによって勇気を奮い起こし、より良い道を掴み取っていくところが好印象なのです。
養女となった先で出会った従兄弟のファイサルも、ちょっと無鉄砲なところがあるものの憎めない少年です。過酷な運命によって頼るものを奪われた二人が、手を差し伸べてくれる人に頼りつつも、自分たちの使命を果たすため奮闘してゆく姿はいじらしく、応援したくなります。
丁寧な筆致、しっとりした雰囲気ながらクスリと笑えるユーモアも仕込まれている、奥行きのあるファンタジー。物語も佳境に差し掛かり、じわじわと謎が明かされつつあります。ぜひご一読ください。
数奇な運命の下に生まれた少女、アイシャ。聖なる泉で竜の声を聞いたことで彼女の運命は動き始める。砂の世界で生きる竜と人の物語……みたいな感じでレビューしようかと思ったのですが、私の筆力ではとても良さを語りきれません。
とにかく描写が素敵です。私は本を読んだ時に風景は見えたり見えなかったりなタイプなのですが、この作品はすごいです。バンバン映像が見えてきます。
キャラクターも秀逸、キャラの関係性も素敵。
竜にまつわる世界の謎も、謎が謎を呼び気になって仕方ありません。
読みはじめてスイッチが入れば、最後まで読んでしまうこと間違いなしです。
私が実例です。
私の力ではどう語っても作品以上に面白そうにはできないので、読んでみてください、としか言えないのがつらいところです。
主人公である帝国の第十六皇女アイシャは地味で臆病者。アイシャはひょんなことから天竜の住む泉に落ちてしまう。
そして、アイシャと竜の物語は始まった。
ネタバレになってしまうので物語のあらすじはここまでとさせて頂きます。
私はこちらの作品を読んだ瞬間、砂に囲まれた古の街並みや夜の寒々しい砂漠の光景が鮮明なヴィジョンとなって脳裏に浮かびました。
キラキラと輝く砂の流れや、優しくも残酷な水の匂いが、共感覚のように呼び起こされます。
本当に素晴らしいですし、なによりも連ねられる言葉が美しい。
決して平易な表現ばかりではありませんが、それでも頭の中に情景を湧きあがらせるエネルギーがこの作品には込められています。
もっともっと、評価されるべき作品だと思います。
出来れば映画になってほしい。
必ず観ます。