それはとても美しく切ない、竜と砂の物語。

主人公である帝国の第十六皇女アイシャは地味で臆病者。アイシャはひょんなことから天竜の住む泉に落ちてしまう。
そして、アイシャと竜の物語は始まった。

ネタバレになってしまうので物語のあらすじはここまでとさせて頂きます。

私はこちらの作品を読んだ瞬間、砂に囲まれた古の街並みや夜の寒々しい砂漠の光景が鮮明なヴィジョンとなって脳裏に浮かびました。

キラキラと輝く砂の流れや、優しくも残酷な水の匂いが、共感覚のように呼び起こされます。

本当に素晴らしいですし、なによりも連ねられる言葉が美しい。
決して平易な表現ばかりではありませんが、それでも頭の中に情景を湧きあがらせるエネルギーがこの作品には込められています。

もっともっと、評価されるべき作品だと思います。

出来れば映画になってほしい。
必ず観ます。

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