どちらかといえば、同年代が同年代を見る、よりも
「大人があの頃を懐かしむ」
そんな目線でヨムのがいいのではないでしょうか
丁寧な描写に心惹かれ、「あの頃」を思い出してしまいます
私はまだ「一年生二学期」までしか読めていません
一気に読むのはなんだかもったいなくて
じっくり噛みしめる
主人公陽佑君の気持ちにも入り込みつつ
彼の、同級生たちの、自然な、等身大の日常
異世界でもないし、現実にはあり得ないような事件が起こるわけでもない
それでもその世界に入り込めて、共感できる
些細だけれど、でも「あの頃」には大事件だった
誰もにあるそれを思い出させてもらえる物語です
ある男子中学生の3年間が丁寧に丁寧に描き込まれた作品です。
読んでいると自分も中学生に戻ってしまうような、細かくも深い心理描写が心に刺さりますよ。
学生時代ってあっという間に終わってしまうがゆえに、やり残してしまったことばかりのように感じてしまいますが、かけがえのない時間や思い出はずっと心の中に残って、その人のその後の人となりを形作っていくんですよね。
1話1話がそんなに長くなく、サクッと読める手軽さもありますので、このレビューを見て下さった方は、ぜひこの「お茶漬け恋模様」をご一読下さい。
きっと……あなたの心に残る物語ですよ。
主人公は中学一年の桑谷陽佑。平々凡々な中学生活を送ると思っていた陽佑だったが、とある女子がきっかけで、予想とは違った日々に変わっていく。
めっちゃ面白かったです。描写がとにかく丁寧で、1話1話が濃密。ところどころにおしゃれな表現も隠れていて吸引力のある物語でした。個人的には小中高の中で中学が一番充実していたので、読んでいると中学生に戻りたくなります。
試験日の休み時間に騒がしい様子、バレンタインにそわそわする男子、移動教室もトイレも団体で行動する女子……ああ、わかるなぁと思いました。
魔法やバトルなど非現実的な作品にわくわくするのももちろん楽しいですが、それだけが物語の魅力ではないと私は思います。どこかにいるかもしれない誰かの些細な日常が描かれることで、登場人物たちの気持ちに共感したり、この言動は嫌だなぁと思ったりするのもとても楽しいものです。
運動会やクラス替え、気になる子とのおしゃべり、委員会、部活。劇的な展開はないけれど、引き込まれていく物語です。自分も陽佑たちと一緒に三年間過ごした気分になります。
色んな生徒が色んな顔を持ち、色んな特技を持っている。メインキャラだけでなく、脇役のような子たちもちゃんと登場するところが素敵です。キャラクターが多いと、読み手としては覚えられないし混乱するかもしれません。けれど、実際の教室にはたくさんの生徒がいます。
みんなの前に立ってまとめるのが得意な人、進行が得意な人、陽佑のように調整役になってくれる人、中には行事にやる気のない人もいます。そういう人たちにもしっかりと名前を与え、作中で動いているのを感じると、物語にリアリティが生まれます。
もしかしたら作者さんの周りには陽佑みたいな子がいたのかもしれないし、どこかにいるのかもしれない。想像するのが楽しいです。
本当に素敵な青春小説でした。ぜひ読んでみてください!