過去編 4-4

「待たせてしまったな二人とも。来てくれ」

と扉を開けたリンが言う。

俺達は席を立ち隣の会議室へと歩いていった。



リンが扉をノックする。

「入ってくれ」中から男の声がした。

それを聞きリンが扉を開き

俺達に中に入るよう促す。



中には8名の椅子に座る人らと明華、

そして護衛であろう五人の長物ライフルを持つ

男達がいた。



椅子に座る人や護衛らが俺達を強い眼力で睨み

俺達がなにか変なことをしないか警戒していた。



時が止まったような静寂な空間で

唐突に明華が話し始める

「一度取り敢えず挨拶をしないか?

 これから協力する仲だ。

 それくらいしといたほうが

 仲が良くなるだろう?」

この一言を鍵にしてこの場の緊張は溶ける。



近くにいたリンが椅子を2個用意して

「立っていると疲れる、座ってくれ。」

と言う。



俺達は椅子に座った。



長方形の机の短い二辺に俺達と明華が座っていて

左右に四人づつ人が居た。



8人の内7人は男一人が女だ。



       ○○

      ┌──┐

     男│  │男

     男│  │男

     女│  │男

     男│  │男

      └──┘

       明華



俺達から見た右列の最も手前の席の男が言う



「先ず、取り敢えずお前達二人に挨拶を

 してもらいたい。素性の分からん奴に

 我々の情報を与えるわけにはいかんのでな。

 すまんが頼む」



素性の不明を理由に俺たち二人へと向かって

そう言った。

確かに、知らない奴に

機密情報を与えるわけにはいかない。

その男の話しはよく理解できる。


然し、個人的なことを言うと

さっき座ったばかりの椅子から立つのも

少し嫌なものだ…。

まぁ立たずに話すのでも良いのだが

それでは格好が悪い。


まぁ我々から話し始めねばいけないこの状況で

そんなことは言っていられないのだが。



ジョンに手で合図をし立つ。



場の空気はとても冷たく、

今まで戦っていた自分らが

たった8人の名も知らぬ人々により

猫に追い詰められたネズミのようになっていた。



心に冷たい視線が刺さる。



言葉を発するのも一苦労だ。

本来はここまで苦労はしないはずなのだが……。

そんな事を気にする時間もない

と腹を括り話し始める。



「私はジェイク・ミハイルです。

 今回の作戦のためJEFAAから派遣された

 アメリカ軍所属の軍人です。

 隣の彼はジョン・ウェラー。

 彼も同じくJEFAAから派遣された

 米国軍人です。

 階級は私が中佐で彼が少佐です

 宜しく頼みます。」


話し終えるとジェイクに視線で合図する


「先程紹介されたジョン・ウェラーです。

 今回はこの2名で支援します。

 宜しくお願いします。」



挨拶を終えると

左列一番後ろの男が言った

「二人だけだと?支援する気はあるのか?

 もっと軍隊を寄越せよ。」

それを聞き便乗するように

左列奥から二番目の男が溜息をつきながら言った

「二人だけなら居ても居なくても変わらんな……

 残念だ期待していたのに…」


ジョンがキレるのを我慢しているとき。

ポケットのスマートフォンが鳴った



相手はHQ。

今回の作戦はロシアや目的地の基地の

おかしな動きが見られているため 

非常時にはHQ近くの基地から

ロシア製の戦闘機の出動も予定されている。


丁度良く鳴ってくれたおかげで

支援の件をこの場の人々に伝えることができる。



「話を聞いt…」と言い始めたときに

溜息をついた男が喚く。

「会議中に電話を使うな!礼儀を知らんのか!」



そう、男が言ったその直後

その男のー前のマグカップが割れ

中に入っていたコーヒーが飛散り

血飛沫の様になる。


リンがサプレッサー付きの銃で撃っていたのだ。


弾頭は、机に当たったが

机が抉れているだけな事から

跳弾したことがわかる。


実際、弾頭はその男を掠め壁へとめり込み

壁の中に留まっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

the impossible silent missions Unknown man @Unknown1208

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ