the impossible silent missions

Unknown man

一話 現在 墓地にて

ーーーーー2105.5.28ーーーーーーーーーー

ーーーーー米国,???,???,墓地ーーーーー

ーーーーー曇り,30℃,86°F、78%ーーーー


「君は、まだ続ける気なのか?」


白髪混じりで

茶髪の五十歳位の老紳士が問いかける。


「あいにく、それ以外にすることがないので」と、隣に立つ一人の男が言う。


「君は、既によく働いた」

「もう、退役して休む方が良いだろうに」

と、さらに言う老紳士。

どうにかしてでもその若い男を休ませたいのだろうか。


だが、

男は、やはり老紳士の期待した答えは

言わなかった。


「私には、まだ出来ることがある、

それを行う方が世のためになると思うのです」


いつまでたっても答えを変えない男を

説得することが「不可能」と、

諦めたように言う。


「ならばせめて、

彼のようにはならないでくれ…」


と墓石をみながら話す。

墓には L.I.P J.Weller 2098.3.16

と書かれていた。


その一言に少し動揺して男が言った。

「……分かってますよ」

その一言に少し安心したように

老紳士が頬を緩める。


その姿をみた男が少し微笑んだ頃

車のエンジン音が聞こえてきた。

見ると一台のシブい車が止まって

二人の男が降りてきた。

 

「ワシの迎えが来たようだな」

と言いそのあのすぐに

「ワシは先に帰るが、お前はどうする?」

と男に聞いた。

男は首を横に振り老紳士の問いに答える。


エンジン音が遠退いた頃、

「ポツポツ」と少しの雨が振りだす。

少しの小雨だったが、男は顔をしかめて苛立ち、傘を差す。


そして自分以外誰もいない墓地で一言放つ。

「俺も、まだ死にたくないんだがな

  ……中佐……」

少しづつ雨が強くなっていく墓地に

ただ一人の男が立っていた。

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