過去編 三 龍・明華
ー2098,3,15ーーーーーーーーーーーーーーーー
ー中国,金砂砂漠,ヴィライア自治区,スラム街
ー曇り,40℃,104°F,7%ーーーーーーーーー
待っているだけで30分も経ってしまった。
今日の天気は良いと事前にニュースで
確認したはずなのに 空に雲がかかってきた。
スラムの人々は酒を飲んだりトランプをしたりと
様々な事をして過ごしている。
「俺達だけ浮いてるな」
と俺が小声で言う。それに答えるようにジョンが言う
「ああ…だな。隊長」
ジョンは長く待っているし することもないので
苛立っていた。
スラムの人々は目を向けるどころか
関わろうともしない。
要らぬ争いを避けるためと言えばそうなのだが。
それでも気味が悪い。
俺が気味の悪さを取り払うため一服しようかと思い
ポケットからタバコを取り出したとき、
トンと肩を叩かれた。
誰かと思い後ろを振り向くと、
そこには、一人の民兵のような男が立っていた。
どこから現れたのかと 男の後ろを確認していたら、
「お前達か?俺達に会いに来たと言うのは」
とその男が話しかけてきたのだ
この男が誰なのかはわからないが
状況的に考えた先の答えはYESしかない
そう考え俺は「Yes」と答える
その男は俺の答えを聞くなり すぐ後ろを向き
歩きだした。
恐らく「ついてこい」
ということだろう。
俺は隣で寝そうになっているジョンを起こし、
歩き始めた。
ジョンも急いでついていく。
スラムの奥の方の建物は三階建てくらいなので
迷路のようになっていて
自分が今何処にいるかすら分からないほどに
入り組んでいた。
木の板をくぐったかと思えば
その板の上を人が歩いているし、
土の上を歩いていたかと思うと
木の板の上を歩いている。
同じような道がずっと続くほど怖いことはない。
この道で合っているのかと聞きたくもなったが、
聞いても良いことはない。
しばらくそのままついていくことにした。
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歩き始めてどのくらい経っただろう。
先導していた男が扉の前でいきなり足を止めた。
そして俺達の方を向き扉を指差す。
無口だか言いたいことは分かる。
「この扉の中に入れ」ということだろう。
俺はジョンに目をむけ合図した。
扉の前に立ち
ノブに手を掛け
慎重に扉を開ける。
すると中には、
大きな長方形の机とその奥にある椅子に座った
一人の男が現れた。
椅子に座る男が俺達を先導していた男に向かい話す。
「ご苦労だったな、リン
もう戻って休憩しても良いぞ」
どうやら、あの男は リン と言うらしい。
休憩して良いと言われ扉の前から去っていった。
俺達はどうするのが良いのか分からず
部屋の扉近くで仁王立ちしていた。
そんな様子の俺達を見て、
椅子に座る男が話しかけてきた。
「そこの椅子に座るといい。
さあそんな所にいないで話をしよう」
そういわれ、俺達は椅子に座る。
俺達が座ったのを見て男が言った。
「私の名前は 龍 明華 (ロン ミンファ)だ。
よろしく頼むよ、米人さん」
事前に俺達が来ることを伝えてあるので
我々が米国人であることも
今回の目的も相手は知っている。
下手なことをせずに話すのが吉と見て
俺は話し始める。
「俺はシェイク・ミハイル、
こっちは相棒のジョン・ウェラーだ。
よろしく頼む」
挨拶を互いに交わし終えたとき、
この三人の目付きが変わった。
「それでは、本題に入るとするか」
と明華が切り出す。
それに同意し頷く俺達。
俺達三人は今回の作戦の概要について話し始めた。
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