無能の無能は「無難な能」

 とても面白い。
 スキル特典がこの手の小説の醍醐味だが、主人公に与えられたのは「無能」。第三王子というたいそうなご身分なのに「無能」。
 これが形容詞ならどうしようもないが、実は…というのが物語の骨子。
 そして集うは一癖も二癖も難がある美女ばかり。だが「おっこの子こうすればカワイイじゃん」とメカクレ少女などを評したことがある人間ならばもうたまらない。
 筆者は古い小説が好きなので、作中で人格を得た無能すら、カーマ@ティルトワールドや闇の女王@ゴクドーくんに見えてくる。
 そして襲いくる無能(動詞)、無能(形容動詞)、無能(代名詞)。「敵は強敵であるほど魅力的」という観念の逆を行くこの物語がなんとも愉快。まさに無能とハサミは使いよう。
 文句無しの星3。書籍化したときにどのような挿絵がつくのか楽しみである。

その他のおすすめレビュー

@DisturbReaderさんの他のおすすめレビュー6