無能の中の無能王子 -スキル【無能】を授かりましたが、周りの女性は【傾国】【傾城】【奸婦】【毒婦】【悪婦】【妖婦】とかです。え、追放? 結構街に食い込んでたけど……まあ大丈夫か‐
福朗
プロローグ【無能】と【傾国】
王宮の片隅を歩く少年、名をジェイク・サンストーン。青の目と金の髪を持って生まれた彼は、サンストーン王国の王族であり王子だったのだが、付き人が一人もおらずぶらぶらと歩いている様は、王宮という安全な場所であっても異常な事だった。
「おい、無王子だ」
「ああ本当だ。何もできない無能」
それを遠くから見ていた衛兵達は、その少年に駆け寄るどころか隣にいた同僚と嗤いあっていた。これまた異常である。衛兵が王子を蔑むなど、下手をすれば打ち首になってもおかしくはない。しかし、その嗤い声が聞こえていた使用人達も特に気にしていない。そう、別に彼らがおかしいのではない。
「父上、おはようございます」
「……」
少年、ジェイクが前からやって来た父である肥満気味なアーロン王に挨拶をするが、王はジェイクを全くいない者として通り過ぎた。この王国の主である王がこれなのだから、その下にいる衛兵や使用人が従うのは当然の話である。
「兄上、おはようございます」
「話しかけるな。汚らわしい」
それは彼の兄達も変わらない。15歳を超えた第一王子レオは、ジェイクと同じ青の瞳と金の髪を持っていたが、ジェイクと全く違うところはその逞しさだろう。上品な服は筋肉によっても盛り上がり、指には剣ダコが出来ていた。そんなレオは大勢の付き人や武官を引き連れて王宮を闊歩していたが、彼はジェイクに話しかけられたことに心底嫌悪感を感じて罵る。
「兄上、おはようございます」
「ふんっ」
これまた全く変わらないのが第二王子であるジュリアスだ。彼はレオと違い細身で目が鋭く、文官を引き連れていたが、ジェイクに対する反応は似た様なもので、鬱陶しそうに鼻を鳴らしただけである。
「無能が」
通り過ぎる際にジュリアスがそう吐き捨てた。
サンストーン王家にとって、彼、末の王子であるジェイクは望まれて生まれてこなかった。いや、それよりももっと酷い。好色な王が使用人の娘に手を付けた結果生まれた彼は、一応王の血を引いているのは間違いないとされたがそこまでだ。王の目の止まる場所で働けていた母親は、下級とは言えども貴族の娘ではあったのだが、それでも王妃や側室は公爵だったり伯爵の娘であり、その周りから下賤な生まれと蔑まれてしまい心労で体を壊して、遂には帰らぬ人となった。そして彼女の実家も、とてもではないがジェイクの後ろ盾など出来る訳もなく、彼は王宮にいながらまるで孤児の様な扱いだった。
そして決定的なことが起こる。この世界では10歳の誕生日にスキル、即ち神からの恩寵とされる不可思議な力が授かるのだが、ジェイクが10歳の時に授かったスキルが問題だった。問題にもならなかったと言うべきかもしれないが。
「ジェイク王子のスキルなのですが…」
味噌っかす扱いだったため、ジェイクのスキル判定はその聖職者がちらりと見てそれで終わりだ。当然、金にも縁にもならない彼の立場故に、大々的にする必要がない。一番上の王子であるレオ王子も、次兄のジュリアス王子も、その神の恩寵が授かる日には貴族が集まり大々的なパーティーが開かれたが、それをする価値は十分にあった。なにせレオ王子は【戦神】、ジュリアス王子は【政神】という、戦争と政の天才を約束されたスキルを神から授かったのだ。
「早く言え。あ奴のスキルがどうしたと?」
その聖職者の言葉に興味がないアーロン王は、さっさと話しを終わらそうとする。
「スキル名が【無能】でした。才能がないを表す、無能です」
「は?」
ぽかんとしているのは王だけではなく控えている文官、武官達もだ。
「無い、のではなく【無能】?」
「はい」
才能ある者か、高貴な生まれの子に生まれて、初めてスキルは発現するため、平民達は殆どスキルを持っていないため、無い、ならまだ分かる。しかし、無能というスキルなんてものは聞いたこともなかった。
「ぷっ。はははははは! なんだ、てっきりスキルはないだろうと思ておったが、一応はあったか! のうお主等」
「はははは!」
「全くでございます」
「仰る通りですな」
そのあんまりなスキルの名前に、思わずアーロン王は突き出た腹を揺らしながら笑い、臣下達も同意して笑う。彼らにとって、今更ジェイクが強力なスキルを発現するなど誰も望んていなかった。
このようなことがあって、ジェイクは神から直接【無能】の烙印を押された無能として扱われ、誰も近寄ろうとしなかった。
そしてついに、アーロン王はジェイクは必要ないと、決定的な沙汰を下すことにした。
「貴様を王城から追放する」
ただそれだけ告げたアーロン王の決定で、ジェイクは王都の外れにある、一応は立派なだけの屋敷に、事実上幽閉されることになったのだ。
◆
そして時は現在。ジェイクは13歳ほどになっていた。
(暇だ。あ、そうだ。屋敷を抜け出そう)
その無能王子はまさに無能なことを思いついていた。一体どこに、暇だからと屋敷を抜け出そうとする王子がいると言うのか。
『なんという無能なんでしょうか。これは【無能】の私でもびっくりですわ』
(うるさいぞ無能)
そんなジェイクの頭の中に、あきれ果てたと言わんばかりの女性の声が響いた。
『言っておきますけれど、自我のあるスキルだなんてスーパーウルトラ希少価値があるんですからね』
(じゃあそのスーパーウルトラ希少価値なスキルは何が出来るんだ?)
『【無能】に何が出来るか聞くって時点で無能ですわね』
(くたばれ!)
『お下品ですわね。おほほのほ』
そう、ジェイクの頭の中に響く女性の声は、彼のスキルである【無能】そのものであった。そして彼女? の言う通り、自我のあるスキルなど前代未聞なのだが、ジェイクにしてみれば単なる話し相手以外なにものでなく、それ以上でも以下でもなかった。
『あ、衛兵がどっか行きましたわよ』
(チャーンス!)
ジェイクがそんな無能と話していると衛兵達が遠ざかって行き、好機と見た彼は屋敷の隅から隅へとこそこそ隠れて移動する。こんな追放されているジェイクだが、それでも一応は王族だからと屋敷を衛兵が守っていたが、誰も彼もやる気のないことは明らかだ。
しかし、幾らなんでも10歳かそこらの少年が、衛兵や使用人の多い屋敷から出られるはずがない。
(ふっ、ちょろいもんだな)
『ちょろいちょろくない以前に、やってること自体が馬鹿だと自覚しましょうね』
だがなんと、ジェイクは屋敷の裏から外に出ることに成功してしまったではないか。
(うん? ひょっとしてこの服って目立つ?)
『頭痛くなってきましたわ。無能の私でも痛くなる脳がある事に気が付かせてくれてありがとうございます』
しかし、幾らジェイクが疎まれていても、その身なりはそれなりのもので、屋敷の外に出れば当然注目を集める。
(仕方ない。目立たないように裏路地を行こう)
『お好きにどうぞですわ』
目立つなら目立たない場所に行けばいいじゃないかと、路地裏に歩を進めるジェイクなのだが、路地裏なんてものは王都でも治安が悪い場所に通じていると決まっていた。
(誰もいないんだけど)
『いなくてよかったじゃないですの。いたら誘拐からの身代金コースですわ』
(父上達が払う訳ないんだよなあ)
『じゃあ鉱山送りですわね』
(うへえ。確か犯罪者が送られるような場所なんだろ?)
『酷いところはですけどね。まあ、私も知識としてしか知りませんけど』
無人の路地裏を拾った木の棒きれを振りながら歩くジェイクは、王子として碌な教育を受けていなかったが、常に話しかけてくる無能から世のことを色々を教わっており、決して無知ではなかった。
「あれは美しいんじゃなくてバケモンなんだよ! アタイが殺してやる!」
「待て! 傾国スキルでサンストーン王国を崩壊させる計画だろうが!」
「そんなのは関係ない! バケモノは生かしちゃおけないんだよ!」
「ぐぎゃ!? 貴様! 女の嫉妬で計画の邪魔をするなど!」
「ぎゃあああ!?」
(とんでもない陰謀と犯罪の臭いがする!)
『まあぷんぷんしてますわね』
ジェイクがオンボロな家を通り過ぎようとしたとき、中から悲鳴と怒号が聞こえてきたのだが、王国を崩壊させると言うとんでもない言葉も聞こえてきた。
(……静かになったな)
『ですね』
(じゃあ中を見てみよう)
『なんでそうなるのか私には分かりませんわ』
どう考えても修羅場か凄惨な光景しかありえないのに、態々確認をしようとするジェイクに、無能はあきれ果てた声を漏らす。
(鍵が掛かってるか……お、ここから入れるぞ)
入り口を開けようとしたジェイクだが、当然の様に鍵がかかっていたので、どこかから侵入できないかと建物を観察すると、子供が何とか入れそうな地下室への通気口があったのでそこへもぐりこんだ。
(なんだこりゃ?)
地下室に侵入したジェイクだが、そこには大きな布がかぶされた四角の物体があり、彼は首を傾げながらその布を剥ぎ取った。
「来るな!」
「は?」
それは、檻だった。しかも中に人が、ジェイクを睨みつけている少女がいた。
(白い)
その少女は白かった。髪も肌も、その振るえる睫毛も、病的ではなく神々しさすら感じる、何人も侵しがたい穢れなき純白。しかしその唇だけが淡い桃色で、彼女が人形ではなく血の通った人間だと証明していた。
「え? わ、私は【傾国】を持ってる! 近寄るな!」
『ああ、本当に【傾国】のスキルですね』
気丈な振る舞いをしていた少女だが、檻の向こうにいる者が大人ではなく同い年くらいの少年だと分かり慌てて警告する。
しかし、その侵しがたい筈の純白は、男を狂わせずにはいられない色香を放っていた。いや、実際に狂わせてしまう。どうしても手に入れたい、自分のものにしたい。そのためならば何でもすると心の底から誓わせてしまう魔性の美貌。
彼女の名はレイラ。元々農村の生まれに似合わない美しい少女として生を受けたが、スキル【傾国】に目覚めてしまってからは、更に更にその美しさに磨きがかかってしまい、化粧など一度もしたことがないのに、この世の誰よりも美しくなってしまった少女だ。そう、なってしまった。その後まだ少女レイラを巡って老いも若きも男達は争い、しかもその噂を聞きつけたある存在が、彼女を利用しようと誘拐してここに連れてこられたのだ。
『関わらない方が吉ですわね。自分周りを全部巻き込んで破滅しますから。いや本当に、幾つか実際に国が滅んでますわよ』
事実を告げられるジェイク。
これが少女だからこそまだ村の中で争うだけだったが、成長して肉を付けると、彼女を巡って世界で戦が巻き起こるだろう。これこそが外れ中の外れスキルであり、男の権力者の誰もが、自分は破滅しないから大丈夫だと妄信してでも手に入れたいと望んでしまう、【傾国】のスキルを持ってしまった者達の悲哀であった。
『という訳でさっさとずらかりま』
「じゃあ出ようか」
「え?」
そんな警告を無視したジェイクは、壁に掛けられていた鍵を手にすると檻を開放したのだが、若干鋭い顔のレイラはポカンとした表情になる。
『【傾国】を助けるとは貴方も男という訳ですわね』
「【傾国】に関わったらどうなるか知らないのか!?」
無能も、レイラですら、色香に惑わされたであろうジェイクの行いを非難する。そう、【傾国】に関わった者の末路は破滅しかないのだ。
「だから一人で破滅しろと? 俺は今、正しいことをしている。俺の正しさを誰が何と言おうとだ」
「あ、え?」
レイラはずんっと、地下室の重力が何十倍にも大きくなったかのような錯覚を受けて、思わずジェイクが差し出した手を取ってしまった。
『そうやって偶に王気を出すの止めてくれませんかしら?』
(なんのこっちゃ?)
『なんでもありませんわ。ああ、連れ出すならその襤褸切れを被せた方がいいですわ』
「あの通気窓から脱出しよう。表の部屋は、まあ、死んでると思うけど、誰かいたら厄介だ」
ジェイクは変わらず呆れた声の無能に従い、未だ呆然としているレイラに布を被せて脱出を試みる。
「き、きつ……!?」
しかし、同年代だがジェイクより発育のいいレイラは、通気窓につっかえながらなんとか脱出することになった。
『おチビで助かりましたわね』
(お前に体があったら殴ってるのにと、何回思ったのか分からない)
しかし、若干自分の背が小さいことを自覚しているジェイクは、すんなりと脱出しながら悪態を吐いた。
「あ、自己紹介遅れたね。俺はジェイク」
「レイラだ……」
「行く当てはある? ないならうちへ来なよ」
「いや、だが……」
「いいからいいから。なんならうちで働いたらいい」
『使用人達にはなんと言う気ですの?』
(新人!)
『もう苦笑も出ませんわ』
実家のある農村にレイラが戻ると、再び争いが起こることは目に見えており、行く当てのない彼女を自分の屋敷に誘うジェイクだが、諸々の大事なことが抜けきっていた。そもそも、彼は秘かに抜け出してきているため、その新人をどうやって連れてきたという話になるだろう。
しかし、それはとんでもない解決を見せた。
(裏口から帰ろうと思ったけど、正門に門番がいない件について)
自分に与えられた屋敷に裏口から戻ろうとしたジェイクだが、様子を確認するためにちらりと正門を確認すると、そこは門番を務めていた筈の衛兵がおらず、その門も開け放たれていた。
(つまり……隠れる必要がなくなったな)
『ええそうですわね』
それを非常に肯定的に捉えたジェイクは、堂々と正門から帰宅することに成功した。
「ひょっとして……思った以上に生まれがいいのか?」
「まあ生まれは」
その豪奢とはいえなくとも立派な屋敷を見たレイラが、思わずぽつりと呟いてしまったが、確かに生まれだけはいい。生まれだけは。
「なんか、人がいなくね?」
明らかにおかしかった。実質的に追放されているジェイクとは言えども王子は王子。それなりの数の使用人がいる筈なのに、正面口から屋敷への庭には誰一人としていなかった。
「おーい行くぞー!」
「ああいたいた」
「これはジェイク王子。一応は挨拶しなければと思っていたのですよ」
ジェイクが屋敷の扉を開けようとしたとき、丁度中から使用人達の集団が出てきたが、王子と呼称する割にはその使用人に敬意は一欠けらも宿っていなかった。尤も、ジェイクの隣にいたレイラはぎょっとしていたが、まさか自分を助けた少年が身分の高そうな服装をしていても、王子とはとてもではないが思っていなかった。
「実は陛下のご命令で我々は引き払うことになりましてな。ああご心配なく。屋敷の主は変わらずジェイク王子ですし、金銭も一定の額は支給されますので。それでは失礼します」
「はい?」
流石のジェイクもその言葉にはポカンとした。屋敷があろうが金銭が支給されようが、王子の彼に生活能力があるはずもなく、実質的に野垂れ死ねと言っているようなものなのだが、使用人達は出世の見込みがある訳のないジェイクの屋敷にこれ以上いるのはごめんだと、布を被っている不審者のレイラにすら興味がなくすぐに去って行った。
「よし、これでレイラの件は解決」
『私、今ほど手があったらと思ったことはありません。それはもう盛大な拍手を差し上げてましたのに』
だがジェイクは、これで問題が一つ片付いたとばかりに頷いていた。
「わ、私は【傾国】なんだぞ!」
しかし、それではいそうですかと納得できないのがレイラだ。その身に宿った忌まわしい、呪いとしか表現できない"美"のスキルを持つ彼女は、血を吐くように叫んだ。
「スキル【無能】ですがよろしくお願いします」
しかしジェイクだって負けていない。レイラが呪われているなら、彼は【無能】で何もできないと烙印されているに等しいのだ。
「わ、私といると破滅するんだぞ!」
それでも自身を否定するレイラであったが。
「飯なんて作ったことないんだから、いなくても破滅するんだよ! どうか飯作ってくださいお願いします!」
「う、う、うわあああああああ!」
その間抜けなジェイクの言葉のどこが琴線に触ったのか、気丈にふるまっていたレイラは泣いて彼に抱き着くのであった。
◆
ところ変わって王宮、玉座の間。
「しかし、使用人達を戻させて野垂れ死ねと思ったが、よくよく考えると栄ある我が王家に【無能】がいるなど耐えがたいな」
「左様でございますな」
弛んだ顎をさすりながら、アーロン王はふと思いついたように漏らした。不要な者がそのうち死ぬだろうと思って、ジェイクの使用人達を戻したが少々迂遠ではないか、と。
「そういえば、あ奴は病弱だったな」
「そういえばそうでしたな」
心労が祟り病死したジェイクの母親を、その原因が病弱だったと宣うアーロン王。
「ならばあ奴もそうだろう」
「そうでしょうなあ」
重臣は、母親もジェイクもあ奴としか言わず笑うアーロン王の言いたいことなど分かっている。つまり、無能を病死ということにして始末しろということだ。
「そういえば、無能王子が咳をしていたような」
「うむ。そうだな」
わざとらしい重臣の言葉にアーロン王は満足げに頷いて
悍ましい企みが……
『ジェイク・サンストーンに対する謀略を検知』
恐ろしいスキルが……
『スキル【無能】発動』
発動した。
「いや、態々そんなことをしなくとも、そのうちどこぞへ放り出せばよいか」
「そうですな」
「それより新しい女を見つけて来い」
「はっ」
今までの考えなどどうでもいいと好色な笑みを浮かべる王と、それに追従する重臣達。彼らにとって、無能はいつでも命を奪える存在であり、別にそれはふとした拍子で変わるようなことなのだ。
誰も気が付かない。
◆
「待てよ……スキル【無能】とは……まさか……お、王に、し、知らせねば!」
数年前にジェイクのスキルを鑑定した聖職者が、
『ジェイク・サンストーンに対する脅威を検知』
慌てて飛び出そうとした聖職者だが……
『スキル【無能】発動』
「はは。いや、そんなことあるはずがない。無能は無能だ。現にここ数年、特に異常はなかったじゃないか」
ついさっきまでの愚かな妄想を鼻で笑い、何事もなかったかのように仕事に戻る。
誰も、誰も気が付かない。それはジェイクすらも。
◆
◆
◆
◆
それは後年でも発揮された。
『ジェイク・サンストーンに対する脅威を確認。スキル【無能】発動』
「補給などどうとでもなる! ジェイクの首を目指して突撃あるのみ!」
◆
◆
◆
◆
『ジェイク・サンストーンに対する脅威を確認。スキル【無能】発動』
「貴様、さては裏切ったな!?」
「ぎゃああああ!?」
「国王陛下御乱心!」
「大臣が切られた!」
「国王陛下御乱心!」
◆
誰も、誰も、誰も誰も誰も誰も誰も誰も誰も誰も気が付かない。
気が付かせない。
賢王を愚王に
名将を愚将に
賢者を愚者に
勇兵を愚兵に
無能と蔑まれたジェイク・サンストーン。彼の敵対者をそれよりも更なる無能に貶め、果ては国家を、世界を崩壊させる可能性を秘めた恐るべきスキル。それこそが
『ジェイク・サンストーンに対する脅威を確認。スキル【無能】発動。対象者のスキル【傾国】のデメリットを無能化します。周囲にだけ。破滅するもしないも貴方次第ですわ。おほほのほ』
スキル【無能】であった。
後書き
逆に考えました。そんな馬鹿なと思える展開や不自然さは、実はなにかとてつもないものに強いられているんだ、と。
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