第7話 合わない家庭

急いで帰宅すると、案の定叱られた。いや、怒られた。拷問か?と思うほど、長時間正座させられ、しかも別室に閉じ込められる始末。


どうやら、しきたりを守らなければ、こうなるらしい。そんなのあんまりだ。

だが、仕方ないとの事。


(ハァ…、ま、いっか)

そんな時、再び脳内に声が聞こえる。フェネクスの声だ。

『…言っただろ』

「だねー」

真っ暗な部屋の中で、気力が抜けそうだ。

どうやら、合わないらしい。


♢♢♢


次の日。俺は罰としてぞんざいに扱われた。だが、フェネクスは疑問を浮かばせる。

『おかしいな。あんな事したら、本来なら追い出すはずなのにな』

(どう言う事…?)

『お前の兄もそれで追い出さられている』

(………リオンとしての、兄)

リオンの兄も、どうやら同じ理由で追放をされているらしい。


♢♢♢


フェネクスから聞いた。


悪魔と契約の一族は、昔から色んな人から嫌われていると言う事。

そしてなおかつ、悪魔と契約している奴が、勝手な行動してしまえば、それは一族の恥となるらしい。

そして、生まれてから五年後。5歳になった子供には、悪魔の紋章をつける。


(なら、兄さん……?と、同じだから?だから、追い出さなかった?)

そう考えるのが、自然なのかどうかは分からない。

(まぁ、考えたって仕方ないっと。あー、でもあれだな。このままだったら、窮屈になりそうだなぁ。その、俺の兄がいる場所に行けば、もしかしたら、自由に生きれそう?)

そう思った後の行動は早かった。

木々に囲まれている、この辺境。そして鬱蒼たした森に存在する、大きな屋敷と廃墟。


今日も再び、あの真っ暗な部屋に閉じ込められていた。

どこかから出る抜け穴があると思い、まずは魔法で“悪魔の賜物ワープ”を使い、部屋の外へと出る。

やはり、悪魔と契約している一族が住んでるだけあって、廊下は薄気味悪い。蝋燭の明かりだけが頼りな、真っ暗な廊下。

点々と光る、蝋燭の明かりを頼りに、足取りを取っていく。


廊下の奥には、小窓がある。そこから脱出できそうな気がした。

見つからないように、ソローっと小窓の方へといく。

(な、何だこれ)

小窓には釘がされていた。どうやら、出られないようにしているみたいだった。


「リオン、何をしているのですか?」

耳が慣れた状態での、そんな声。

ぞくっと体が震える。後ろを振り向くと、おっかない顔の夫人———エリン・アディントン。


リオンの母親となっている人物——。


♢♢♢

アディントン夫人

エリン・アディントン伯爵夫人







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る