第3話 異世界

あの後、俺に使い魔ができた。


何だよ、使い魔って。

そしてどうやら、俺が死んだのは本当だった。そして俺は死んで悪魔と契約をする一家に生まれて、いや待て。俺はそもそもそんな記憶すら存在していない。

そこがまずおかしいじゃないか。俺が仮に、死んで赤ちゃんになっているのだとしたら、納得できる。

そう言う異世界の本を読んだことがある。

死んで異世界へ転生。それは今俺の状況と酷似…いや、確実だろう。


そして、何より不思議でたまらないのは、何故赤ちゃんの記憶がない。突然目の前に広がったのは、長閑すぎる光景。

そこからスタートとかだった場合、憑依ならわかる。だけど、何で存在している男の子に?

そして何より、悪魔と契約って何?


俺の肩に乗っている、赤い鳥。フェネクスというらしい。

フェニックスみたいな語呂であるが、そこら辺は本人に聞かないといけない。

そんなフェネクスと契約をし、俺はそんなフェネクスの主人らしい。


そして、俺は今自分の部屋らしき場所にいる。そこはどうやら、元々は兄が使っていたようだった。

だが、俺と兄は歳が離れているらしく、リオンは12歳。兄のフレイスは22歳。10歳差だ。

そんな兄は、どうやら魔界に用があると言っていたらしい。


まず、魔界が存在するということに驚いている。

そしてさっき行った廃墟は、その魔界と繋がっているとされている。


オカルトじみた話をフェネクスから聞かされ、どう反応すればいいか困った。


ん?でも待てよ?ここは異世界。なら、魔法が扱えるんじゃない?


「ねぇ、フェネクス」

『何だ』

「直接脳に語るのやめてよ。すぐ近くにいるんだから」

『無理だ。喋れない』

「あ、そういうこと。あのさ、魔法を放つやり方を教えて欲しいんだけど」

『………………』

「どうかした?」


突然黙った。うんともすんとも言わない、そんなフェネクスを見て、パタパタと飛び立つ。どこへいくのかと思うと、机の上に乗っている、羽根ペンを取った。


『これを使える』

「え、羽根ペン?どうするの?」

『自分の手を傷つける』

「は?」


咄嗟にそんな声が出た。何言ってるんだろうか。羽根ペンを俺の手の上に乗せるが、それで魔法が放てるというのは、どういう事なのか。誰か説明してほしい。


「………」

『怖いのか?』

「べ、別に。やってやるさ」


俺は意を決し、羽根ペンの先で思いっきり、手を傷つける。血が体内から飛び出し、その血は、何故か。グルンと一回転をし、近くにある本棚からノートを一冊取ってきた。


ノートには血の痕がついていない。そして血はまるで、自分が思った方向へと飛んでいく。

どういう事だ?これが、魔法の一種だというのか?


『そうだ、それは魔法だ』

「………魔法」

『鉄分はしっかり取っておけ。大量失血で死ぬぞ』


そんな事あるのか。

どうやら、本当に魔法は実在するらしい。そして血を出す代わりに、鉄分を取らないと俺は死んでしまうらしい。そこは無限に出来ていないようだ。


ーーーーーーー


リオン・アディントン。

使い魔 フェネクス

魔法  血魔法


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