第4話 血魔法
血魔法という魔法を扱えるようになってから、二日が経つ。
それまでに分かったが、どうやら俺は血魔法と後一つの魔法が使えるらしいが、他の属性は使えないという。
今日も血魔法の練習を再開する。
魔法も勉強と同じかもしれない。ネットがあった時代では、勉強のやり方なんて調べることができる。
だが、この世界にネットはない。何かで見た、ファンタジー職業とかの中に、電脳魔法使いがいない限り。
そんな時、赤い鳥のフェネクスがやってくる。何をしていたのか、俺はそう尋ねた。
『どうやら、帝都の方角に魔物が発生したらしい。まぁ、アディントン家には関係ないがな』
そうか、ここはファンタジー世界。魔物がいるのか。
この世界にきてから、二日が経ったが、どうやら、この身体は五体満足のようだった。それに、心臓病が再発したら、魔法医というのがあると聞いた。
だが、それは持病を持った体。
このリオンの体は、至って健康だ。
「魔物、ねぇ……」
『余計なことは考えるな。貴様はアディントン家次男坊。アディントン家の決まりとしては、1に誇り高き地位。2に自分の魔力』
「他人のことは?」
『辞書に入っていない』
アディントン家はどうやら、魔族の血が入っているらしい。だから、悪魔を呼び出せるとのこと。
1に自分、2に自分、3に自分。
他人を助けるなんて、言葉は入ってないらしい。
そしてここは、帝国から離れた、辺境伯。アディントン家は伯爵の地位らしい。
(これじゃあ、自由を縛られているのと、同じじゃん…)
そんな時、父さんが言っていた言葉を思い出す。
『自分が本当にやりたいと思ったことを、やりなさい』
そんな、幼少期の頃の父さんの暖かな声。胸が締め付けられる。
「俺が、やりたい事………」
今はたった一つ。魔物退治だ。
「んじゃ、行ってくるわ」
『どこにだ』
「帝国方角」
『いいのか?殺されるぞ』
「あれ、悪魔なのに心配してくれてるの?」
そう茶化すと、だんまりしてしまった。
だが、アディントン家に他人を助けるという辞書がないなら、俺に従えと言うのは辞書にないのと同じ。
だが、この行動で、今後がどうなるか。明白に分かりそうな気がした。
『………魔物の位置は、どうやら帝国の右側。その辺りの丘にいるらしい』
フェネクスはそう言った。これがツンデレ、と言うやつなのか。
俺はそんなフェネクスにお礼を告げる。だが、どうやらフェネクスは付いてこないようだ。
それならそれで、都合がいい。
思い経ったが吉日。俺は今いる草原から帝国がある方面へと、走りに行った。
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里音の辞書。
従えと言う文字は辞書になし。
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