私も同じセリフを唱えたい。

 少し、一回でいい。深呼吸をする時間がほしい。いや、くれると言うなら二回も三回もそれ以上もさせてほしい。そのくらい、沢山の感情が自然と心の底から溢れる、そんな小説だった。

 類人とルナールの関係性が、とてつもなく良かった。推しとファン、飼い主と飼い犬、努力型と天性の才能型。その対比がとても不思議で、それでいてあっさりと胸の内にハマる。いい関係性だな、と思った。

 ルナールの、いちご飴を作る類人の動画を思い出すシーンが一番好きだった。類人の言ったセリフは、ルナールと同じように、私の胸に優しく、それでいて強く、響いた。
 長い間、沢山の人に見向きされなくても、それでも画面の向こう側にいる人を気遣う類人の優しさに、彼こそがまさに天使なのでは、だなんて冗談じゃなく思ってしまった。
 きっと私も類人のその動画を見つけたら、こっそり高評価を押すだろう。ファンになるに違いない、とは確証がないから言えないけれど。少なくとも、彼の言葉は私にも届いた。
 類人とルナールのその出会いは偶然で、奇跡のような必然なのだと思う。出会っていなければ、ルナールはアイドルになっていなかった。誰かの一番星になっていなかったと思う。もちろん類人も。

 私は貴葵様と同じく、小説を書く者だ。だから、類人やルナールと同じように、形は違えど、人を相手にする職業だと言える。
「貴方の一番星になりたい」
 その何度も唱えられたセリフは、私も言いたいセリフだ。たった一人でもいい。そこにいる"貴方"の、一番星になりたい。貴方の頭上で輝く星になりたい。そのことに、改めて気付かされた小説だった。

 文句なしの三ツ星。いい小説を読ませてもらった。損はないため、他の人にも読んでほしい。

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 レビューってこれでいいんですかね!?偉そうな上から目線になっていたらすみません!!すごく良かったです!読ませていただきありがとうございました!

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