天の龍、櫻色の小さき花弁伍つに綻ばす

桜色の可愛らしい姫君は、世界を統べる
龍の姫神だった…。

平安時代の陰陽師たちと妖怪、祟り神、
魑魅魍魎に付喪神。雅やかで美しい平安
絵巻の上で繰り広げられる恋と冒険。
人も妖も神も入り乱れての大混戦の様相を
呈する中で、ただひたすら愛おしい桜色の
姫龍と、見習い陰陽師の変わらぬ誠意が、
読む者の心を熱くする。
 
着物や宝物の美しさ、付喪神の煌びやかな
装い。美味しそうな食べ物。恐ろしい妖や禍神…何を取っても和心と表現のセンスが
光る。歴史書に裏打ちされた事実と仮想が
恰も、桜の花が咲き綻ぶように。

それはいつしか満開の花霞となって心を
埋め尽くす。
       いつの間にか夢中になる。

そんな、物語なのだ。

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