戦慄すべき「電子立国」の実態〜「正しいドミノの倒し方」書評

五色ひいらぎ

「正しいドミノの倒し方」書評

 昨年のシステム統合以降、大小のトラブルを繰り返している麦穂銀行。

 その原因を、ノンフィクション小説「正しいドミノの倒し方」は、現場の立場から告発する。


 本作の主人公は、このシステム統合の過程を「最下流」工程から見てきた一プログラマである。

「大手金融系の業務」との求人票に誘われ、都内の小規模ITベンダーに中途入社した主人公は、ありとあらゆる理不尽に見舞われる。

 不足する人員、実現不可能な納期、「上流」へ伝達されない現場の報告。脆弱な計画は、やがて一つのきっかけで、ドミノ倒しのように連鎖的に崩壊していく。

 回復不能な状況で、剥き出しにされる人間の本性は圧巻だ。主人公が、親請け会社のPMプロジェクトマネージャに「替えのきく機械人形」と怒鳴りつけられる場面に、筆者は戦慄を覚えた。


 読後、読者には強い疑念が残るだろう。

 はたしてこのシステムは、本当に完成したと言えるのかと。

「電子立国」を自称する国の実態を、広く知らしめる良書である。

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戦慄すべき「電子立国」の実態〜「正しいドミノの倒し方」書評 五色ひいらぎ @hiiragi_goshiki

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