少しばかりの休息。忘れられない離島での日々。

 離島でしばらくゆっくりする方の日記と聞いて、あなたは何を思うだろうか。

 これは、就活に翻弄されて疲れてしまった、著者ゆきこさんが離島で母や母の家族と過ごす日記である。
 連載開始から完結までを私はリアルタイムで読んでいた。ああ、今日はこんなことがあったんだとほっとしたり、今日の更新はまだかなと心待ちにしたりした。そういうことは、リアルタイムで追っているからこその楽しみ方だ。
 この作品に関しては、一気読みもいいが、リアルタイムの味わいもいいと思う。

 車の免許を取ったり、知らない習慣にふれたり、母や母の家族と話したり、著者のゆきこさんにとって濃密な約65日間だっただろう。
 目の前の人の現在だけでなく、背景や過去を知ったり、自分のことが少しわかったりする経験は、ゆきこさんだからこそできたことだ。

 帰る場所はある。だから安心して、いろいろやってみてほしい。
 インターネットの海の向こうから、私も応援している。