ノストラダムスの大予言、その真実がここに。

 妻と娘に去られ、一人寂しく生きてきた元料理人・関川。ある日彼は腹を空かせた猫耳の少女と出会い、見かねて家に招き入れてしまう。
 振る舞ったのは、一杯のお茶漬け。シンプルだが丁寧に作られた鮭茶漬けを、獣人の少女は貪るように食べ尽くし、満たされて眠りについた。

 ここは、失われた古代文明『ムー大陸』が空に浮かぶ終末世界。人類の文明は失われ、世界の常識は覆された。明日をもしれぬこの世界に舞い降りた猫耳少女に食事を振る舞ううち、関川は忘れかけていた思いを取り戻す。
 過去と向き合い、言葉を交わせぬ猫耳少女と心通わせ、この世の真実に触れた彼は、守るべきもののために立ちがる───


 『飯テロ』をテーマに掲げ、企画主が提示した「お題」となる前半部分に、参加者がそれぞれ「回答」として後半を綴るという形式で作られたこの作品。
 お腹が鳴って困ってしまうほどに美味しそうな料理の数々。そこに絡んでくるのが、個性的なんて表現じゃ済まないキャラクター達。奇想天外な展開に驚き、笑い、涙し……途中、あまりのこと(!)に混乱する瞬間もあるかもしれません。でも、ぜひ最後まで読んでいただきたい。
 世界は救えるのか。その鍵となるものは? ウンバチって何?! さまざまな謎を抱えながら、物語は驚愕の結末へとなだれ込み……待っているのは大満足のフィナーレ。
 読み終えた時、あなたは感動の涙をそっと拭い微笑んでいることでしょう。そして、ちょっとだけ思うかもしれません。「なんだ? この話……」って。

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