妻と娘に去られ、一人寂しく生きてきた元料理人・関川。ある日彼は腹を空かせた猫耳の少女と出会い、見かねて家に招き入れてしまう。
振る舞ったのは、一杯のお茶漬け。シンプルだが丁寧に作られた鮭茶漬けを、獣人の少女は貪るように食べ尽くし、満たされて眠りについた。
ここは、失われた古代文明『ムー大陸』が空に浮かぶ終末世界。人類の文明は失われ、世界の常識は覆された。明日をもしれぬこの世界に舞い降りた猫耳少女に食事を振る舞ううち、関川は忘れかけていた思いを取り戻す。
過去と向き合い、言葉を交わせぬ猫耳少女と心通わせ、この世の真実に触れた彼は、守るべきもののために立ちがる───
『飯テロ』をテーマに掲げ、企画主が提示した「お題」となる前半部分に、参加者がそれぞれ「回答」として後半を綴るという形式で作られたこの作品。
お腹が鳴って困ってしまうほどに美味しそうな料理の数々。そこに絡んでくるのが、個性的なんて表現じゃ済まないキャラクター達。奇想天外な展開に驚き、笑い、涙し……途中、あまりのこと(!)に混乱する瞬間もあるかもしれません。でも、ぜひ最後まで読んでいただきたい。
世界は救えるのか。その鍵となるものは? ウンバチって何?! さまざまな謎を抱えながら、物語は驚愕の結末へとなだれ込み……待っているのは大満足のフィナーレ。
読み終えた時、あなたは感動の涙をそっと拭い微笑んでいることでしょう。そして、ちょっとだけ思うかもしれません。「なんだ? この話……」って。
ティーパックの玄米茶で干しアミと鮭の最高のお茶漬けを皮切りに、タンドリーチキンカレー、濃厚なシチューなどなど毎回登場する美味しそうな料理。
そしてその料理にぴったりのお酒を繰り出し飯テロリストとしての面目躍如の活躍を見せる関川さんには、何抱えているものがある様子。
「変態の館」のカノーさんという登場人物と、上空に浮かぶ怪しいムー大陸。
かつての美しい師匠は、すっかり転職。
猫耳のタマとのハートフルな食事の様子の裏で進む、「変態の館」と「ムー大陸」との全面戦争。
美味しい料理と、シュールな戦い。
世界を巻き込む戦いが終わった時、関川さんは?
ジェットコースターに乗っているような展開にあなたもぜひ振り回されてみてください!振り回された分だけ心に染みる最終話です。
可愛らしいネコ耳少女を拾った関川さんの生きる世界は、伝説の大陸「ムー大陸」による危機にさらされた終末感たっぷりの世界。
美味しい料理が次々に登場するかと思えば、次々に現れる個性強すぎる(そしてどこかで見たことある)変態さんたち。
終末カオスな世界の中、それでも関川さんは猫耳少女「タマちゃん」のために愛情たっぷりに腕を振るいます。
丹精込めた逸品は、世界を救うカギとなるか。
大切なタマちゃんを守るため、関川さんの料理と変態さんたちが壮絶な死闘(…?)を繰り広げます!
果たして世界の行く末は、タマちゃんの運命は?
ぜひ、その目でお確かめください!
――ラ・ムーは、この世の全てを見通している。
――ラ・ムーからの地底の囁きに耳を傾けろ。
かのノストラダムスは、1999年に地球が滅亡すると予言した。それを受けて、原因や方法、生き残れる確率など、さまざまな可能性が検証され、数多くの理論が生み出された。その一つに『ムー大陸』の謎がある。地球の滅亡と『ムー大陸』の繋がりはあったのか? その鍵を握っていたのが、プロの料理人「関川」の拾ったネコ耳の獣人だった。獣人というのは地球人から見た観点であって、実際は何と呼ばれているのかは謎のままである。
ネコ耳は「タマ」と名付けられ、関川の料理に舌鼓を打ち続けていた。その恩義を感じてなのか、単にネコ特有の気紛れからなのか、ノストラダムスの予言は的中しなかったことは、2022年に生きる我々も知るところだろう。
しかし、その裏には壮大なドラマがあった。
変態の館を中心とするレジスタンス、タマを奪おうとする者、謎の美女に鞭の擬人化まで、関川を取り巻く面々に笑い、泣き、感動すら覚えることだろう。さらにストーリーの中には、作品における企画テーマ「飯テロ」が存分に盛り込まれ、飯テロリストさながらの攻撃で読み手の腹を空かせてゆく。この作品に「お腹いっぱい」という言葉は不要だ☆