魔界の名探偵は、魔王の息子

 舞台は魔界。そこを統べるのは魔王。そして、その魔王の息子、魔王子レッドは人間との混血である。
 偉大なる魔王が恋し、妃に選んだのは美しい人間の女性でした。だが、その王妃は、謎の死を遂げてしまう。
 幼いころに失くした母が残したミステリー小説の山。それを読んで育った魔王子はやがて、自分も母が残したミステリー小説に出てくるような名探偵になって、母の死の謎を解いてやると心の決めるのです。
 と、この設定だけでワクワクしませんか?

 舞台は魔界ですので、魔法は出てくるし、ドラゴンや獣人もふつうにいます。その中でミステリーを展開するのはかなり難しい。
 が、本作では、設定とかアイディアとか、読者へのヒントの提示とかで、ファンタジーなのにミステリーという際どいバランス取りが成されています。
 ミステリーに傾いても退屈だし、ファンタジーに逃げても興ざめになるところを、ぎりぎりのラインで攻めてくる「魔王子レッド」。ミステリーの「あっ」とファンタジーの「おっ」が見事に混在しています。

 こういうジャンル。つぎに流行るかもしれないですね!

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