これぞ性癖語り

性癖を語るとはまさにこの作品のようなことなのだろうと思わされました。妙な修飾を廃して「眼鏡を外す」という行為を客観的に描写していく様が誠実であるなと。ピンポイントなスポットのあて方や着想も私としては大変好みでした。

今作のカップルのように初々しいやり取りを描くことで見惚れている様子を性癖の表現と重ねて用いているのが素晴らしい。眼鏡を外す、それだけのことを主軸に様々なドラマが描けると思います。私なら例えば老人が机に向かって作業している、そこに飼い猫が乗ってきて手を止めさせる、老人は仕方ないなといった様子で眼鏡をはずして休憩をとる、ぼやけた視界の先で猫が不思議そうにこちらを見ている、みたいな静かな物語を「眼鏡を外す」からイメージしました。