第9話

「よっと...!」


俺はガキをおんぶし、

そして、住所を尋ねた。


「で、住所は?」


「〇〇町3丁目...」


「え、〇〇町!?おまえ、そんな遠くから来たのか!?」


「そーだよ。最初は花時計公園でブランコ乗って遊んでた。そしたらブチネコを見つけたからそいつを追いかけたんだ。

そしたら、こんな見知らぬ町まで来ちゃってさ...」


「なるほどな...」


俺は、見た目より重いこのカギを背負い、

〇〇町3丁目を目指していた。


「あ、ちょっと待って、自販機!」


「あん?」


「お金ならあるよ。

おにーちゃん、喉乾かない?」


「あー、言われてみれば...」


「コーラでいい?」


なかなかにかわいいガキだった。


俺はコーラを御馳走になり、

歩くこと30分あまり。

そいつの家のすぐ前まで

来たみたいだった。


「もういいよ!降りる!このあたりまで

来たらもう、自分の家がどこなのか分かるから」


「そうか。それはよかった」


俺はガキを下ろして、やれやれと、

方向転換しようとした。


その時だった。


聞き慣れた声がした。



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